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Phase06 ページ8

「……それで」

静かに晴れた空の下、四人は路地を歩いていた。
不機嫌な顔で、言葉も交わさず太宰と中也達は五(メートル)ほどの距離を保ちながら歩く。太宰が前、中也達が後ろだ。

五米も距離が空いているせいで、誰も四人が連れ立って歩いているとは思わないだろう。

殺伐とした太宰と中也の沈黙を裂くように文也は口を開く。

「先代首領とやらの件はわかった。囚われている羊の奴らと引き換えに兄さんが命令を呑んだのもな。然し何故この4人なんじゃ?主ら2人でも解決できる案件だろうに」

「其れも森さんからの命令に含まれているからね」

その問いに答えてくれたのは太宰だった。
ピタッと足を止める彼はくるっと体を向けにっこり笑う。

「改めて自己紹介をしよう。僕は太宰。太宰治だ。君達の名前を伺っていいかな?」

「おい言わなくてい………」

「文也じゃ。中原文也。此方は零魔。仲良くしておくれ」

「文也、相手はマフィアだぞ。仲良くなんてしなくていいだろ」

ギロッと文也を一睨みする中也に文也は肩を竦めた。

「なんじゃ中也。長いものには巻かれろとよく云うではないか」

この場で一番力があるのは中也だろう。然し彼が太宰に対して力を行使しないということは目の前にいる男が彼の弱点を握っているのだろう。

油断ならない男だ。文也はそう結論付けた。

ちぃっ、と中也は大きく舌を打ち止めた足を動かし始めた。

再び私達は歩き続ける。。

「……おい」

中也が小さく云った。

前方を歩く太宰は返事をしない。振り返りもしない。

「……なァ、おい」

中也再び声をかけた。無論返事はない。

「どこに行くかくらい教えやがれ」

「いやあいい天気だなあ。いい天気すぎて妖精さんの声が聞こえるなあ」

「巫山戯んな。オレの声だ」

太宰が振り返り一言。

「ああ、君、いたの。悪いけど話しかけないでくれる?ちょっと今呼吸で忙しいから」

呼吸で忙しいとは一体……文也は疑問符を頭上に浮かべる。

「首引っこ抜くぞ包帯野郎。そうじゃなくて、どこに向かってるか答えろ、つってんだよ」

「判った、答える。近くに寄らないでくれる?連れだって歩いてると思われたくない」

「心配すんな。俺も思われたくねえから」

「うふふ、気が合うねえ。そんな君が大好きだよ!」

「うわ、やめろ!気色悪くて死ぬ!」

「……うん。僕と気持ち悪くて死ぬかと思った」

太宰は後悔の表情で呻く。

「……若しやお主ら仲良しか?息ぴったりじゃな」

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作者名:フェルマーとSasa猫 | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2022年7月15日 20時

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