Phase16 ページ18
「中也!それに文也と零魔も!!はあっやっと見つけた!捜したぞ!」
手を振って呼ぶ三人組に中也はひとつ深いため息をついた。
それから冷静なすまし顔をつくり、三人の方へと向かった。
「お前達、無事だったか。良かったな」
中也は大人びた声で云った。
その顔に感情の揺れは微塵もない。
石のような表情だ。
「何のんびりしてんだよ、中也達!!こんなとこで!」
三人組の中央にいる、銀髪の少年が唇を尖らせた。
「知ってるだろ、晶や省吾達がマフィアに攫われたの!」
「心配すんな。その件は今対処中だ。攫われた八人は無事で帰ってくる」
「対処中って………どこが?組織内でも噂になってるんだぞ?中也達がマフィアに屈服して、使い走りの犬みたいに下請け仕事をさせられてるってね!僕が噂を潰して回るためにどれだけ苦労したと──まあそれはいいよ。早くマフィアの監 禁潜窟に殴り込んで、痛い目見せてやろうぜ!いつもみたいにさ!」
《羊》達の会話を、太宰は楽しむような目つきで黙って眺めている。
「その前にお前達が調べてた《荒覇吐》の噂について、何か追加情報は?」
「あ?ああ……」
銀髪の少年は戸惑ったように仲間達と顔を見合わせた。
「勿論、調べは進んでるよ。頼まれた通り、噂の数と出所を皆で追ったけど、やっぱり一番多いのはこの二週間ほどだな。黒い炎やマフィアの先代首領のジイサンを見たって噂は、二週間で爆発的に増えてる。それ以前は細々とした噂だけ流通していたようだけど……」
不意に太宰が口を挟んだ。
「じゃあ、被害が確認できる一番古い噂はいつ?」
全員が太宰を見た。
「おい……中也?誰だこいつ?入団希望者か?」
「まあ……そんなとこだ」
中也やは太宰を睨んでから《羊》達に目を戻した。
「悪いが、こいつの質問に答えてやってくれ」
「まあいいけど……」
納得のいかない顔で中也や文也、太宰を見比べてから、銀髪の少年は云った。
具体的な被害がある古い噂って云えば、多分八年前だな。大戦の末期、擂鉢街をつくった巨大爆発。《荒覇吐》が実際に出した被害としては、これ以前にはねえ」
「やっぱりね……」
ひとり得心顔で頷く太宰。
「なあ中也、こいつは本当に《羊》の新入りか?幾らお前でも独断で新顔を入れる事は出来ないんだぞ。確かにお前は一番強いし、一番組織に貢献してる。でも名目上は一応、十三人いる『評議会』の一人ってことになってる。お前は強権横暴だって批判は、前から皆が」
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作者名:フェルマーとSasa猫 | 作者ホームページ:無し
作成日時:2022年7月15日 20時