不安と心配と安心と___。 ページ6
跡部さんが私を抱えながら走って10分は経っただろうか。
余りに急な事だったからまだ頭が混乱している。
跡部「おい、もう少しだ。」
救命ボートには既に何人か乗っていた。つぐちゃんと彩夏の姿はない。
？「跡部!?そいつは確か…」
跡部「細かい事は後だ、俺は船内に人が残ってないか確認してくる。」
そう言って私を救命ボートに私を下ろす。
「跡部さん、つぐちゃんと彩夏の姿がないのでまだ船にいるかもしれません」
跡部「分かった。確認してくる」
心配、不安という気持ちも大きかったが、親友を助けられない不甲斐なさに苛立ちを覚える。
？「顔強ばっとるで嬢ちゃん」
「あ、す、すみません…」
？「跡部なら絶対助けてくれるで。それより嬢ちゃん足怪我してるんやろ？ちょっと見せてみい」
「あ、ありがとうございます…え、えと…」
忍足「忍足侑士や」
そう言うと、忍足さんは手際よく手当をしていく。
運動部だから応急処置には慣れているようで、元運動部現マネージャーの私でもかなり顔負けしてしまった。
30分くらい経っただろうか、跡部さんが帰ってきた。跡部さんの後ろには数名のテニス部員のみで、つぐちゃんと彩夏姿はない。
「跡部さん、2人は…？」
跡部「大丈夫だ。青学の奴らが保護してそっちの救命ボートに乗っている。お前の荷物も小日向と辻本が預かってるみてえだ。」
「跡部さん、ありがとうございます」
親友2人の安否を確認し、胸を撫で下ろす。
呼び方が分からないと不便な為全員軽く自己紹介を行った。全員個性的な為覚えるのはそう難しくなかった。
忍足「そういえば嬢ちゃん跡部にお姫様抱っこされとったな」
忍足さんの一言で私の頬はﾎﾞﾝｯと赤くなる。
今思えば初お姫様抱っこ初ハグも全て跡部さんだ。
だが、不慮な事故だから相手を責めれない。
忍足「顔真っ赤やで、嬢ちゃん可愛ええな〜」
「う、煩いです」
跡部「おい忍足」
忍足「すまんな跡部、嬢ちゃんがあまりにも可愛かったからからかいたくなったんや」
コイツ。敵だ。
気付いた頃にはもう遅い。こういうタイプの人間の餌食になったら一生いじられるのはお決まりのパターン
忍足「可愛いなあ嬢ちゃ」
「その手には乗りませんよ忍足さん」
忍足さんは怒らせてもうたなと笑っていた。
2人が無事と知って安心した私を眠気が襲う。
薄れていく意識の中、跡部さんが私に上着をかけてくれた事だけは覚えていた________
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作者名：あぽろろろろろ | 作成日時：2020年12月2日 3時
