曇天 ページ28
Aに礼を良い、俺は素早くロッジに戻る。
探索での出来事を思い出し、じわじわと顔が赤く染められていく感覚が分かった。
跡部「はぁ…」
柄にもなく大きいため息をついて、ロッジの椅子に座り込む。手を顔で覆って外部からはあまり見えないようにした。
？「どうしたんだい？跡部」
跡部「幸村か…いや、大したことはねえ」
幸村「そうかい？君にしてはかなり大きなため息だったよ。」
跡部「見てたのか」
不覚にも幸村に柄にもないため息を見られてしまっていたらしい。
海側のリーダーとして、"不覚"だ。
幸村「疲れているなら休みなよ。跡部はリーダーだから、倒れられたら困るだろう」
跡部「いや、疲れちゃいねえ、心配すんな」
幸村は遭難してから、リーダーの俺を気遣う一面が見られる。
危機的状況下でも幸村は冷静に対処している。普通なら、焦る所だ。他なんて気にしていられないだろう。
あまり言いたくはないが、流石立海をまとめる部長だと、心の中で密かに関心していた。
幸村「最近あの子と仲良いみたいだね、跡部」
そういって幸村は窓の外をみる。
視線の先はテニスコートの近くの木陰で休んでいるAに向けてだった。
跡部「あーん？仲良い訳じゃねえ。友人に気を使いすぎる位使って、持ち前のサポートセンスで過度に動きすぎているアイツにストッパーを掛けてるだけだ」
幸村「そうかい？かなり仲良いように見えたけど…彼女達面白いね。Aさんなんて特に。
跡部「そうか」
前々から感じてはいたが、切原はちょくちょくAに関わりに行く様子が伺えた。
まぁ、Aはそんな事気付いてすらいなかったがな
幸村「あ、探索から帰ってきた時かなり気まずそうだったけど、何かあったのかい？」
跡部「さぁな、強いて言うなら」
幸村「？」
跡部「ナマコの呪いだ」
幸村「ナマコ？」
幸村が何か言いかけた途端、ロッジの扉が開く
真田「幸村ここにいたのか。少しいいか？」
幸村「あぁ。跡部疲れているならたまには休憩もとりなよ」
跡部「ﾌｯ…あぁ。」
俺はふと、再度窓の外を見る。
忍足がAの顎を掴んでいるのが見えた。
跡部(完全に忍足のオモチャだな)
少しずつ空が曇り始めると同時に、分厚くて重い雲が俺の頭の中にかかり始める。
またスコールだろうか、今日はイヤに雨が多い。
ナマコの呪いか
・・・・・
幸村(ナマコの呪い…跡部やっぱり疲れているのかな)
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作者名：あぽろろろろろ | 作成日時：2020年12月2日 3時
