『好』 ページ37
跡部「はぁ…」
自室に籠り考える事約2時間。
もうすぐ就寝の時間だというのに一向に眠気が来ない。いや、こないと言うより眠いという感覚はあるが頭にあるモヤモヤのせいで寝れない。
そんな状況に俺は陥っていた。
事の始まりは2時間前に遡る。
榊監督に合宿の報告し終わり、ロッジ近隣の雑木林の近くを歩いているときだ。
向日の一言で俺は2時間も悩まされる事になる。
向日「なあなあ！！跡部！！」
跡部「何だ向日、夕飯の量の相談か？」
向日「何で俺=飯になるんだよ。って、それどころじゃねぇんだ跡部！！俺すげぇもん見ちまったぜ」
跡部「あぁん？すごいもの？」
向日の事だから大したものではないだろう。と高を括っていたが、次の一言で自体は一変する。
向日「雑木林の近くの海辺あるだろ？あの丁度岩陰とか雑木林の影で人気が少ねぇ所。そこでよー切原とAが抱き合ってたんだぜ」
向日が、あーぁ遂にリア充の誕生かよ〜とボヤいていたが俺の頭には余り入っていなかった。
跡部「おい、どういう状況だ。それは」
それよりその時の状況と事情柄気になった。
向日「俺に聞かれても分かんねぇよ？ボールが雑木林に吹っ飛んで探してたら見かけただけだしよー」
跡部「何でそれを俺に言う？お前普段そういう悪ノリは宍戸とかにやってんだろ」
向日「え、だって跡部のｵｷﾆｲﾘじゃねえの？A」
跡部「あぁん？」
向日「俺はてっきりそうだと思ってたぜ？」
跡部「ﾌｯだとしたらそれはハズレだな。今は合宿中だぞ？そこにたまたま居合わせた人間と恋愛ゴトしてる場合じゃねえ。全国大会も近いしな」
向日「なーんだ流石の跡部でもこの話題なら食いつくと思ったのによー」
ブツクサ言いながら向日はどこかへ行ってしまった。
1人取り残された俺の頭の中はさっきの向日の言葉がリピートされていた。
『抱き合っていた』
何とも言えない塊を抱き、1人自室に戻る。
どうでもいいと口にしておきながら、向日から言われた言葉が頭の中を何度も駆け巡っていた。
いや、恐らく答えはもう出ているのだが、自分の立場上よくない感情だ。という考えが俺にストッパーをかける。
跡部「まさか俺様がな…」
手で顔を覆い隠し小さく笑う。
そうだ、紛れもなくこの感情は__________
『好』
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作者名：あぽろろろろろ | 作成日時：2020年12月2日 3時
