ドキドキするのかわかんないサバイバル。 (ページ19)

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寝言【切原赤也side】ページ19

今日の俺は異様に作業を終わらせる速度が早い。
理由がないと言えばないが、強いて言うなら1つだけ。無人島で(無人島じゃなくても真田副部長のせいで)ゲームが出来ない今、とにかくゲームの話をしてゲーム欲を鬱憤させたいと考えていた。
ゲームの話といえばAの顔が思い付く。
丁度また話したいと思っていた為、作業自体少ない今日が絶好のチャンスというわけだ。

速攻で作業を終わらせ海側の方へ出向く。

赤也(あいつ、どこにいるんだ？)

軽く見渡してみたが、Aの姿が見当たらなかった。
人見知りだが、誰かしらといつも話していたからすぐ見つかると思っていた。

赤也(にしても、海側はあちぃな)

俺は持ってきた飲み物で水分補給をしながら、Aの姿を探す。

赤也(ってかこんなに暑いなら日陰にいるよな)

雑木林のような所を辿ってみる。
すると、ロッジの近くの林の一際大きな木にAの姿があった。

赤也「あ、A」

声を出しかけたが、Aは木の下で体育座りのような座り方をして寝ていた。

赤也(あっぶね、寝てたのか)

ちぇ、折角作業早く終わらせてきたのによ。
とか思いながらも、起こしてしまっていないか様子を伺う。

セーフだったみたいだ。

赤也(折角ここまで来たし起きるの待ってるか)

隣に座って顔の距離が少し近くなったことで気付く。
寝てても分かるくらい、Aの目の下には大きなクマがごってりとついていた。見た所かなり寝不足のようだ。

「ん…ごめ…」

赤也「あ、起こしちまったか？」

「ごめん…」

赤也(ごめん？)

起きてはないが、嫌な夢でもみてるのか？
ごめんと寝言を言うAの顔を見つめる。
その顔はとても悲しそうな顔をしていた。

赤也(後で辻本と小日向にきいてみっか)

何が原因かなんて考えてもわかる訳がないが、Aの辛そうな顔が頭から離れない。
寝言は収まったが悲しい顔は以前直らない。

俺の手は無意識にAの頭の上にあった。

柄にも無く考え事をしたり、先程の作業の疲れからか眠気が俺を襲ってくる。

気づいたら俺は、Aの横で寝てしまった。

真田副部長に怒られることなど、その時にはもう完全に忘れていた________