7.午後の災難 ページ7
五時間目の数学の授業。お昼ご飯を食べた後の退屈な授業で皆うつらうつらしていた。
私も寝ない様に机の下で足をつねったり、ペちんと叩いたりしているが今にも意識が飛びそうだ。しかも隣には教科書さえ開かず爆睡しているロヴィーノ君。羨ましすぎるよ君…。
だが教室中に染み込むように流れていた午後の空気が、一瞬にして吹き飛んだ。
「ええ、それによりここの答えはこうなって…ゴホッ、ゲフッゲフッ」
「コホッ…ゴホゴホッ」
いきなりクラス全員が咳き込み始めた。その理由は紛れも無く教室中に流れているこの異臭のせいだろう。皆が一斉に咳き込んでいたので、流石のロヴィーノ君も何事かと起き上がった。
「ふあ…?何だよ皆して……ゲホッ!何だよこの臭い!何が臭いの発端だこのやろー!」
私達の教室は廊下の突き当たり。つまり一番奥。つまり考えられるのは廊下かその先の教室だろう。隣の二三室は菊さんやフェリシアーノ君達のクラスだ。そして反対側の突き当たりには食堂。
まさか食堂で火災とかでは…?そう思ったがもしそうだったらとっくに放送されているはずだ。じゃあ一般教室の隣にある理科室かな。実験中にトラブルでも合ったんじゃ。だがそれも有り得ない。理科の先生は確かとても慎重な人だ。
ではどこだろう、この異臭の発端は。そういえば理科室と食堂の間にもう一つ教室がある。まだ入ったことはないが家庭科室だったはずだ。そう考えていたら今度は、その異臭がどんどん厳しいものになってくる。まるで近づいているようだ。もう我慢出来ない、と思ったその時、教室の扉ががらりと開けられた。
「先生、これ調理実習で作ったんです。良かったら食べてください、差し入れです」
入ってきたのはボサボサした金髪の男の人。透き通る緑色の瞳はまるで宝石のようだった。そして一際目立つ、多分この学園でこの人より勝る人がいないだろうと思う太い眉。
顔は整っていて、どこからか紳士的なオーラが感じられる彼が持っているのは間違いなくこの異臭の発端であろう丸焦げの物体。一体何を作ったんだろう…?
「ああ、アーサー君。ありがとう…で、これは何だね?」
「見てわかりませんか?スコーンです。自信作なんですよ!」
物凄く嬉しそうな顔でその子はガッツポーズをする。隣のロヴィーノ君はずっと暗示にかけられたように、何だあのダークマター…と呟いていた。
結局今日私達は授業が終わるまでずっとこの悪臭に耐える羽目になった。
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くるりん(?・ω・)(プロフ) - 薺さん» 貴重なご意見、ありがとうございます…!まず人種が違いますから、合併なんかも出来ないですし本当に愛し合っていないと結ばれないんじゃないかな、と考えると止まらなくて!拙い文章ですが、頑張らせて頂きます! (2017年3月31日 12時) (レス) id: 405f58ad2d (このIDを非表示/違反報告)
薺 - はじめまして!最後まで一気読みしちゃいました!ヒトとクニの切ない描写がなんかたまりません…!更新頑張ってください! (2017年3月29日 20時) (レス) id: 8d03f80a9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるりん(✿・ω・) | 作成日時:2017年3月12日 0時