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30.やってしまいました ページ30

「Aー」

暗闇の中でうっすらと聞き覚えのある声がする。そして全身が揺れている。地震だろうか?見回してみても、辺りは真っ暗。ここはどこだろう?そう思った瞬間、声が聞こえて頭に痛みが走った。

「いい加減起きろ、このやろー!」
「いたぁっ」

ロヴィーノ君にチョップをされたのだ。我に返り、暗闇の世界から脱出すると視界に眩しい光が溢れてきた。太陽の光?いや、それは紛れも無く教室の電球の光だった。どうやら寝ていたらしい。今まで(自称)暗闇の世界でさまよっていた私からしては、眩し過ぎた。

「……ん、おはよう」
「何寝ぼけとんのー!もう六時間目も終わって放課後なんよ?」
「えっ!?」

同じ班のベルベルちゃんから衝撃の言葉を聞き、窓の外を見ると辺りはもう夕暮れに包まれていた。ベルベルちゃんの隣で香君が、Aが授業中居眠りなんて、珍しい的な、と呟いている。やってしまった…。

「お前、やばい寝顔だったぞ。滝みたいに、よだれがだばーって」
「嘘……」

今まで問題を起こさないようにと頑張ってきたのに、まさかの問題行為とロヴィーノ君から言われた発言が重なって、今の私の気持ちは完全に沈んだ。それと同時にいつもは寝ているくせに、何でこんな時だけ起きているんだ、というツッコミをする気も失せた。

「あっ、よだれは出てへんかったよ?よだれは……なあ」

ベルベルちゃんはそう言うと、私から目をそらした。それを見て香君も同じように視線をそらす。よだれは出していないが何なんだ、と問い詰めたかったが、嫌な答えしか期待出来ないので、これ以上自分がショックを受ける前に聞くのをやめておいた。いい決断。

私が不覚にも居眠りをしてしまった理由は、きっと休み時間ギルベルト君と大泣きしていたからだろう。泣き疲れと彼に認められた満足感とが眠気を誘ったんだ。

彼女達の話によると、揺すってみても、熟睡していてなかなか起きなかったので放っておいたらしい(なんて無責任なんだと言おうとしたが、私とて言える立場ではなかったので黙った)。

「せやかて、もうこんな時間やけど良いの?菊さん心配してるんとちゃう?」

そう言いベルベルちゃんが指差した時計を見ると、もう六時を回っていた。いつもはこの時間帯、生徒会室でアーサー君とお茶を…いや、生徒会活動をしている時間だ。

身の危険を感じて、私は慌てて教室を飛び出し、生徒会室へと走った。それにしてもあんなに寝たのに、まぶたが重いったら。

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くるりん(?・ω・)(プロフ) - 薺さん» 貴重なご意見、ありがとうございます…!まず人種が違いますから、合併なんかも出来ないですし本当に愛し合っていないと結ばれないんじゃないかな、と考えると止まらなくて!拙い文章ですが、頑張らせて頂きます! (2017年3月31日 12時) (レス) id: 405f58ad2d (このIDを非表示/違反報告)
- はじめまして!最後まで一気読みしちゃいました!ヒトとクニの切ない描写がなんかたまりません…!更新頑張ってください! (2017年3月29日 20時) (レス) id: 8d03f80a9c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるりん(✿・ω・) | 作成日時:2017年3月12日 0時

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