【d!】蒼穹の仰ぎ方【短編集】

【Gr】安眠※※※ ページ11

倫理観皆無・痛々しい表現諸々
＿＿＿＿＿


愛している女に子供が出来たという話を聞いた

まぁ仕方あるまい
変な男に誑かされた挙句に…というのもアレだが

下手な洗脳にまでかけられたんだ
まるで俺すら忘れたかの様にな


仕方ない

仕方ないことだ


だが同時に報復の時は来たわけだ


グルッペン
「アヤに手をかけたお前を、俺は許すことはない
許すつもりもない
いや、許すことなく忘れてしまうかもしれないな」


目の前の男は可哀想なことにガタガタ震えている
が、同時にその手が武器を探す



グルッペン
「愚鈍な男め…
よくそれでアヤに近付いた挙句…
よくも一生分の抜けられぬ悪夢へ突き落としてくれたな」


左手が振り下ろした無銘刀が、男の肩を裂く


グルッペン
「大丈夫だ
お前がいなくなれば、アヤは幸せになれる
いや、あの悪の芽も世に残る前に取り除いてやらねばならんな」


次の世で、俺とアヤが出会い
お前が邪魔することのない世界へ行くのだから

ここに残す芽は無かろう


グルッペン
「ご苦労だった、謀略人よ
お前の策は俺とアヤを最後まで引き裂くには至らなかった」


次の一生こそ幸せになる我々を
指の爪でも食いながら見ていればいい

お前に食わす幸福は
俺たちの手の上には微塵も存在しないんでな




髪の束を掴み上げ、脳の中身がないのか思ったより軽いその頭を持ち
帰ってきた音がしたリビングへ向かう

アヤが帰ってきた
褒めてもらわねば



お前を誑かす鬼を俺は討ったのだ



グルッペン
「おかえり、アヤ」

「誰…ｯ！？」



俺の顔を見て目を見開き、刀を見て後退りをしたものの
プラマイゼロに一歩踏み出したのは
もう片手に持った頭のせいか

心底不愉快ではあるが
アヤを寄せる餌となるならそれでいいか



グルッペン
「あまり…綺麗に殺せなくてな…
部屋を汚してしまったが、討ったことで相殺してくれ」


震えて、震えて…嬉しかったのかと思ったが
今思えば洗脳された彼女には
この素晴らしさは理解できないのだと此方が理解する


遂に吐き出しそうな彼女のため、頭を捨て刀を置き近寄る


が


「来ないでｯ…嫌ッ！！」


随分と酷い扱いを受けたもんだった

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