田中「母さーん!!」西谷「母ちゃん!!」貴方「お前らの母親じゃない!!」

Story:23 我慢と涙 ページ25

及川side

貴方「どうぞ」

お茶を渡す手をみて、

すごく綺麗だった。

白くてきめ細かい綺麗な手だった。

及川「ありがとう。」

お茶を貰い飲んでいると...

貴方「お医者に言われたんですけど、随分ストレスが溜まってるようですね。」

及川「え。」

貴方「なんで？って顔してますねw
お医者さんに言われたんですよ。」

よいしょっと彼女はベッドの隣の椅子に座る。

及川「...」

俺は言い返せずに、ただ俯いた。




ポンッ



及川「!!?」
頭には彼女の手がのった。

貴方「たまには、


弱音吐いてもいいんですよ？」

その一言で心の中の何かが弾けた。

いつの間にか、俺の目から涙が出ていた。

及川「怖かった!もし、飛雄にスタメンの座を奪われたらって!!

凄く、

凄く怖かったんだよ!!」

目の前が涙のせいで歪んだ。
シーツは冷たく濡れていた。


及川「っ!!」

もっと泣きたいけど、唇をかみしめて我慢する。

やばいと思って、彼女の方を見ようとした時だった。

ぎゅ

及川「へ??」

目の前が真っ暗になって、優しい香りがした。

貴方「我慢しなくていいですから。
私が、全部受け止めますから。」


その優しさに俺は


及川「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

病院だということ忘れて

全ての感情を叫び


彼女に抱きついた。


及川「どうしてなんだよ!!どうして!!毎日こんなに努力してるのに!!なんで...なんで、飛雄ばっかり...!!」

貴方「...」

最後らへんはただの愚痴になってたけど、

それでも彼女は優しく包みこんでくれた。



貴方「良く頑張りました。」




これが、俺が最後に聞いた声だった。

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