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YGside
Aヌナとの関係を有耶無耶にしたまま、Aヌナから離れた数日間。
離れても案外やっていけるのかもしれない、と自分の心に強がってみては、ジリジリと焦げるようなヌナへの想いが消える気配も無かった。
あの日のAヌナは、しっかりと俺の中に刻まれて、何度も思い出した。思い出しすぎてすり減ったりしないだろうか、いつか思い出せなくなるのだろうかと怖くなった。
あの日のAヌナは夢じゃなかったんだと再確認したい、でもどんな顔をして会えばいいのかわからない。
Aヌナに会いたいけど会いたくない、そんな思いを抱えて戻った会社で目に入ったのは、見慣れない男性社員に笑いかけられているヌナだった。
今すぐヌナに駆け寄って、ヌナの傍からその男を引き剥がしたくなったけれど、
『ユンギさん、これが例のデータになってます、それから・・』
yg「ぁ、はい」
転勤に向けてやる事が重なり、Aヌナの様子を横目で見るしかできなかった。
きっとあの男は新入社員で、ヌナが教育担当になったのだろう、とヌナと男のやり取りを遠くから見て感じた。
数年前の自分とその男が重なる。
あぁやって笑いかけてもらっては、心が軽くなった日が沢山あった。
『では、業務とお願いしたい企画についての説明があるので、こちらにお願いします』
yg「はい、」
上司の後ろについて歩きながら、離れていくAヌナの方を一度振り向くと、ずいぶんとニコニコと愛想の良さそうな顔で笑う新入社員が目に入った。
数年前の自分と重なった、なんて感じたけれど、あの頃の俺、いや今の俺とも全く違う素直そうな笑顔がやけに脳裏に残った。
胸の奥が、煩わしいほどギリリと軋んだ。
自分が転勤したあと、ああやってAヌナは教育担当のあいつと行動を共にすることも多くなるのだろう。
あいつに「チョコ持ってきて」なんて笑って頼むかもしれない。
あいつだけではない、誰かと笑い合う事もあるだろう。
考えたくないのに浮かんでくるそんな妄想に、胸の奥は軋む一方で、自分の中にこんなにも暗い独占欲があるなんて知らなかった。
独占欲が働いたのは上司や同僚や後輩という立場だけではない。
俺がいない間に、俺じゃない誰かと付き合うかもしれない。
次に会えた時に、結婚しているかもしれない。
そんなの、絶対に耐えられない。
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13(プロフ) - ここさん» 両片思いからの一歩踏み出す感じでモダモダさせてしまいました(笑)読んでくださり、ありがとうございます💜 (11月18日 19時) (レス) id: ecd79cbe0a (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 途中までの煮え切らない態度にソワソワしましたが、最後にやっとって感じでwテテちゃんの存在がアシストしたんですね😝素敵なお話ありがとうございます! (11月18日 7時) (レス) @page12 id: 3ef9ba0026 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:13 | 作成日時:2023年11月17日 23時