2朝ご飯 ページ12
「智さん、朝は相変わらずコーヒーだけ？」
頷くのを見て、またおにぎりを作ること、再開しようかなってちょっとよぎった。でも智さんは先回りして言った。
「仕事フルで入ってんだから無理しなくていいよ？」
それは大野家を出てすぐに、一度言われたこと。
「うん。でも･･････」
言いながら智さんの近くにあった丸椅子に腰かけると、智さんが食べる姿を見ながら言った。
「智さんが美味しそうに食べてくれる姿を見るの、好きなんだけどな」
智さんはかぶりかけていた口を閉じて、上目遣いに私をじっと見てきた。
綺麗な瞳。
淀んでなくて、濁りがない。
思わず見惚れていたら、智さんは口の中に残っていたご飯を咀嚼して飲み込むと、私にその綺麗な瞳を向けて言った。
「･･････じゃあ、たまに頼んでいい？」
そう言うと、持っていたおにぎりを見やった。
おにぎりを作ってくれるかって？
私はそのお願いがとっても嬉しくて、ほっとし、微笑みながらしっかりと頷いた。
「うん、いいよ」
「よかったぁ」
智さんとほほ笑みあう。
あ、なんか幸せ･･････。
智さんは二個目のおにぎりに手を伸ばした。
「まだ食べれる？」
「入るよ。 それに、ほっといたら綾野来んじゃん」
それを聞いて、私は入口近くに置いていたもう一つの鞄に目をやった。
「綾野さんの分もあるよ？」
すると智さんは動きを止めた。
嫌そうな顔をする。
「あんのぉ？」
それを聞いて吹き出した。
自分だけだと思ってたの？だから来る前に早く食べなくちゃって？
わかりやすくがっかりしている智さん。演技しているみたいにコミカルだ。でも私はくすぐったい気持ちだった。
がっかりしてくれるなんて、嬉しい気分。
智さんって、日頃はあんまり気持ちを伝えて来ないから。恋をされていることをうっかり忘れてしまうくらいに。
今もちょっと、これが恋心でがっかりしてるのかは微妙だけど。
･･････でも嬉しい。
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ao(プロフ) - ていくさん» ていく様おはようございます。カップル前、しかも好意を寄せられている立場で、こっちも惹かれかけ･･･なんてのは超絶萌で甘酸っぱい！このあたりの時期で何作も読んでみたい！･･･って書くのは私だった〜！すみません、暫くまた更新が止まりますが、よろしくです♪ (2022年2月16日 8時) (
レス) @page24 id: 3eae10a763 (このIDを非表示/違反報告)
ていく(プロフ) - aoさん今回はもう心の中でジタバタしながら読みました。こういう時期たまりませんねぇ。あと一途もとても好きなお話です。彼は切なくていじらしい役柄が似合うなぁ。幸せにしてあげたくなっちゃいますよね。今回もお話ありがとうございました！ (2022年2月15日 4時) (レス) @page29 id: aad3aa56c7 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ていくさん» ていく様おはようございます。コメントありがとうございます！嬉しくって頑張れます。今日も更新できましたよ。「ち」私も経験有りです(笑)。可愛いですよね〜。こちらこそ嬉しいコメントで幸せにしてくださってありがとうございます！ (2022年2月13日 9時) (レス) id: 3eae10a763 (このIDを非表示/違反報告)
ていく(プロフ) - aoさんまた新しいお話ありがとうございます！パン屋さんでの風景が優しくてマスクで顔のニマニマをかくしながら読んでいます。子どもが小さい時には「たとち」って呼んでたなぁとか思い出しました。幸せな時間ありがとうございました。 (2022年2月12日 12時) (レス) @page17 id: aad3aa56c7 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - あおいさん» あおい様こんにちは。嬉しいコメントをありがとうございます。彼への愛と萌を詰め込んでおります。より身近に彼を感じられてときめきを味わえるよう頑張ってます。今後もどうぞよろしくお願い致します！次回は三男坊さん！ (2022年2月12日 10時) (レス) @page13 id: 3eae10a763 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2022年1月28日 15時
