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5話 ページ25

私は御礼を言った。

「・・・・ありがとうございます」

 男の子は制服を着た高校生で、とても雰囲気のある子だった。

 その子は持っていたコンビニエンスストアの空き袋にガラスの破片を入れていた。

 男の子は、私の御礼の声にちらりと目をこちらに向けると言った。

「ここに入れたら? 持ってたら、手、怪我するから」

 袋を地面に置いてくれる。

 優しい子だ・・・・・・。

「ありがとう・・・・・・」




 私はその子の顔を改めて見て、思わず息をのんだ。

 あまりにも印象深い顔立ちで、目がくぎづけになってしまう。


 意思の強さを物語るはっきりとした濃い眉と、その下の魅惑的な鋭い眼差し。鼻筋も通っていて、全体的に彫りが深い。まだ線が細くて幼さはあるけど、一度見たら忘れられない美丈夫ぶりだった。

 でも、見入っている場合じゃないと私も慌てて拾った。






 

 拾い終えて、ナイロン袋を持って立ち上がったら、その子が和也君と同じ高校の制服を着ているのに気がついた。

「ありがとうございました」

 改めて御礼を言ったら、不思議そうに首を傾げられた。

「あんたさ、それ大事なもんだったの? ・・・・・・金平糖だけハンカチに包んでたじゃん」
 
 私は右手に持っていた包みを見下ろしてちょっと笑って言った。

「店長に貰って、凄く嬉しかったものだから」

「店長?」

「あ・・・・・バイト先の店長で」

「・・・・・・じゃあ、それ、分けていれる方が良かった?」

 その子は、私が反対の手に持つビニール袋に目をやり、ガラスの破片と一緒に入った金平糖を顎で指し示した。少し申し訳なさそうに。

 私は嬉しくなった。

 派手な見た目だけど、優しい男の子なんだ。

 私は首を横に振った。

 


「ううん。落ちちゃったし、もう食べられないから一部だけでも持っていられたらいいの。これだけ家で、別のガラスの容器に入れて飾るから」

 男の子は私をじっと見て、何かを言いかけたけどやめて、じゃあと身を翻すと雑踏の中に消えて行った。



 
 名前を聞いた方が良かったかなって思ったけど、御礼はきっと断られるだろうし、名前は教えたくないだろう。こういうご時世だし。

 でもいい子だったな・・・・・・。





 その夜、岳に電話をしたけどつながらず、折り返しもなかった。

 



 



 

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ao(プロフ) - えむさん» えむ様いつも応援ありがとうございます!癒やしと萌はいついかなる時でも重要ですよね!あればあるほど嬉しいもの。大野家のみなさんに是非癒されて下さいね。楽しみながら頑張ってまーす。 (12月19日 21時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - なおさん» なお様こんばんは。もしやタンポポ色のあのお方のご担当?私もかき乱されているので尚更のことと拝察致します。癒やしと萌をお届け出来るように頑張りますね!ありがとうございます! (12月19日 21時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - aoさん、おはようございます!やっぱりaoさんのお話を読むと暖かくなれます。次回の更新も楽しみに待っています(*´∇`*) (12月18日 10時) (レス) id: bd8350da83 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - なんだか最近は自担に心をかき乱される事が多いのでaoさんのお話で癒される毎日です。いつも楽しみにしています! (12月18日 10時) (レス) id: 19cc532da8 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 萌和*さん» 萌和*様おはようございます。萌えにニヤニヤとだらしない顔をして作っている私に、紡ぐ言葉だなんて綺麗な表現を頂戴できて、凄く凄く嬉しいです。マイペースで頑張らせて貰いますね。ありがとうございます〜。 (12月14日 6時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ao | 作成日時:2019年11月26日 8時

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