4話 ページ20
そんなことがあったその日の夕方、再び相葉君からメールが入った。
でもそれは、テレビ放映を録画したものをなくしたという謝罪で、でも映っていたのは一瞬で、智君は一言も喋っていなかったという残念なお知らせだった。メインは、智君のお世話になっている芸術家の取材だったらしい。
私は地の果てまでも落ち込んだけれど、相葉君には感謝のメールを送った。
でもどうしても気になって、清掃活動から戻った休日出勤の会社のレストルームで一人、今までずっと我慢していた智君に関連する検索をしてみた。
でももちろん智君の名前じゃ何も引っ掛からなくて、今度は智君を呼んでくれた師匠の名前で再度検索したら、数日前に、衛星放送で世界の巨匠の日常というシリーズ番組が放送されていたことがわかった。
･･･････私は30分ほどかかってようやくたどり着いた動画を見て後悔した。
相葉君がなくしたと言ったのは、もしかしたら嘘かもしれなかった。私を気遣かった、優しい嘘。
画面には気難しそうなアメリカ人のアーティストがメインで映っていた。そのアーティストの自宅には20代とおぼしき綺麗なお嬢さんが一緒に住んでいて、時折映っていた。
中盤で、ようやく私の見たかった智君が映った。
巨匠は、数人だけ、世界中から見込みのある若いアーティストを集めて育てているそう。智君の紹介はなかったけれど、智君はその中の一人だった。
巨匠の家で、ちらりと映った智君。
以前の華奢さがなくなって、少し男性的になっていた。でも笑顔はそのままで、纏う空気は柔らかい。
元気そう･････！
感激しかけた私だったけど、一瞬後に氷ついた。
画面の端で、巨匠のお嬢さんが智君の背中に覆いかぶさって抱き着いた。振り返った智君は彼女に親しげな笑顔を向け、彼女の腕をポンポンと叩いていた。
･･･････たったそれだけのことなんだけど。
私は背筋が冷えて、スマホを取り落とした。
喪失感で茫然自失になり、その後、私はどうやって家に帰ったのか分からない。
でも、私の苦難はそれだけに留まらなかった。
たどり着いた自分のマンションの部屋をなんとなく見上げた時、真っ暗な部屋なのに、一瞬明かりが見えたの。懐中電灯の明かり。
背筋がぞわっとした時、タイミング良くスマホが鳴った。
私は窓を見上げながら機械仕掛けのようにそれを耳にあてた。
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とも(プロフ) - 感情移入してしまい…離れている間が辛かった（笑）主人公ちゃんは年上を気にし過ぎて想いを言葉にしなくて…智くんも口数が少なすぎて〜ちょっと歯がゆさがありましたが最終的には幸せに慣れてめちゃくちゃ嬉しかったです。 (2020年5月9日 10時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - みるくプリンさん» みるくプリン様こんにちは！評価100に思わずにやけました。嬉しいです〜。私自信が欲する萌えで、みるくプリン様も萌えてもらえて、幸せです。頑張りますね！ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします！ (2019年9月28日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - にーにーさん» にーにー様こんにちは！同エピにびっくりしています。さぞや心細かったことでしょう。大変でしたね。作風気に入って下さってありがとうございます。嬉しいです。ロスを少しでも癒せれば幸せです。今後ともよろしくお願いいたします。私も冬のにおい聞き返してみます。 (2019年9月28日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - 完結お疲れ様です！最後の方は、何度も泣きながら、じっくり読ませて頂きました。主人公ちゃんや智君はもちろん、翔くん達も素敵すぎて、もう大好きです！(突然の告白)これからも頑張って下さいね！あー☆評価100くらい入れたい位好きです、ホントに。 (2019年9月28日 3時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
にーにー(プロフ) - 初めまして！素敵な作品をありがとうございました！もう智君ロスです…私も以前 彼が留学してる間に空き巣に入られた事があり 同エピにビックリ！最後までお話に引き込まれました。aoさんの作風とっても好きです！彼らの曲 冬のニオイの雰囲気がぴったりに感じました！ (2019年9月26日 3時) (レス) id: 46fd7f8dbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年9月2日 22時
