9話 ページ9
どうやら松本君は是が非でも私に水を飲ませたいらしかった。そのために必死になってくれてる。
ありがたい。ありがたいんだけど！
そこまでしなくていいよ？
もしかして、さっき松本君のオールヌード見ちゃった仕返しか何かですか!?
でもベッドルームに入りかけて、思い留まってくれた。
｢起こしたら可哀相だよな･･････｣
良かった！やっぱり松本君は常識人だった！
･････こだわりが強いだけなんだよね。あと、優しい人なんだ。
するとその時、背後で何かが動く気配がして、松本君と一緒に振り返ったら、いつの間にか、寝ていたはずの大野君がソファの上で起き上がってて、こっちを見てふにゃっと笑ってた。
｢ごめん、起こした？｣
松本君の言葉に首を横に振って、大野君は櫻井君を器用に避けてソファから降りると、キッチンに向かい、私たちを手招きで呼んだ。
大野君は松本君が最初に用意してくれたお皿の前に私を置いた。
｢A、いいよ｣
｢ニャーン！｣
私がそれをペロペロと飲み出したのを見ると、松本君は声を殺して盛大な溜息を吐き出した。
まるで大仕事を終えたみたいに脱力している。
｢リーダー、助かった｣
｢ンフフフフ。何やってんだよ。途中で吹き出しそうになったもん｣
｢･･････見てた？｣
ばつの悪そうな顔。
クスクス笑いながら頷かれて、松本君は照れた顔で肩をすくめた。
･････そんな光景を見ていると、私の目には、日頃主導権を握っているのは松本君に見えていたのに、やっぱり年上の大野君の方がお兄ちゃんで、松本君は弟に見えた。
それはもしかすると、今、他に人目がないせいかもしれなかった。
二人だけになると、松本君も大野君に甘えたくなるのかな。大野君も変に控えめにならないし。
松本君は嬉しそうに言った。
｢やっぱり一回飼ったから分かるんだ？｣
｢ハハ、まつじゅんがこだわり過ぎなだけ。水道水でも問題ないし｣
｢あ･････うん。でもAだし｣
｢特別？｣
すぐに頷く松本君。それを見て大野君は優しく微笑んだ。
｢あんがと｣
御礼を言われたのが恥ずかしかったらしく、松本君は吠えた。
｢飼い主じゃねぇじゃん！｣
｢んふふ。そうだった｣
二人同時に笑い出して、和やかな空気が流れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 825人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ao(プロフ) - keiさん» keiちゃん、確かに実際にあったらうろたえるよね。猫ちゃん、なかなか肝が座ってます。大野君に傷痕なんかつけちゃってごめんなさいなんだけど、傷痕を意にかいさない大野君も素敵でした。移行先もよろしくね！遊びに来てね〜！ (2019年5月29日 8時) (
レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - aoちゃーーーーん！鼻血でた！なんてこと〜（笑）こんなシチュ羨ましい。あ、いやいや（笑）実際こんなことあったらあわあわしてびっくりしちゃうけど、指の隙間からしっかり見るよね（笑）今日も萌えをありがとう〜。智君の爪痕のところがよかったわ♪ (2019年5月28日 10時) (レス) id: 6904188dc6 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 麗琉さん» 麗琉様いらっしゃいませ。猫ちゃんいるんですね。どんな猫ちゃんかなぁ。羨ましいです。私は猫の習性は分からないので調べて書いてます。お陰でいろいろわかって、猫って可愛いなぁって改めて思ってるとこです。また遊びに来て下さいね。頑張ります！ (2019年5月28日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 柊さん» 柊様いらっしゃいませ。来てくれてありがとうございます！ティッシュいるくらいでした？いらなかったです？ 私は何回読んでもいるのです〜。はぁ、満足満足。呆れずに今後も是非遊びに来て下さいね。 (2019年5月28日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - keiさん» keiちゃんおはよう〜。さてさて、首筋の次はこれでした！のぼせて貰えたかな？ これが理想のシチュエーションなのです。どうやったって訪れませんけどね。妄想って素晴らしいね！ (2019年5月28日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ao
| 作成日時：2019年5月14日 6時
