3話 ページ24
基本、おーちゃんは仕事の話をあまりしない。今何を作ってるとか、聞いたら教えてくれるけど、自分からは言わないし、聞いてもたまに内緒って言われる時がある。多分、話すことでモチベーションが下がったりすることもあるんじゃないのかな。その辺りは感性が左右する仕事だから私も深く追求しないようにしてるんだけど。
でも、明後日は卒業式だよ？
おーちゃんは仕事道具が入った重そうな鞄を持ち上げると私の前にやって来た。
｢松潤、車。エンジン｣
カタコトだ。
松本さんはそんなおーちゃんに苦笑し、はいはい、お邪魔虫は退散します、手短にお願いしますよと言って階段を下りて行った。
おーちゃんは空いてる方の手を伸ばして、指先で私のおでこにさらりと触れた。
｢困ってる？｣
おーちゃんは何でもわかってしまうらしかった。
眉間にしわでも寄ってたかな。心配させてごめんね。
私はその手に触れて下ろして貰った。
｢おーちゃんが卒業式には出られるのかなって｣
｢あー････そうか。･････無理だわ｣
私が目を見開いたらおーちゃんは何でもないことのように笑った。
｢でなくっても卒業の単位はとってるし、だいじょーぶだよ？ 後で証書だけ貰いに行ったらいくて｣
この会話で、やっぱり今回の仕事が急に決まったものなんだということが改めてわかった。
卒業式に出られないような仕事って何なんだろう。
おーちゃんはもう社会人でもあるから、学校の行事より仕事の方が優先されて当たり前なのかな。
･･････おーちゃん、悲しくなってない？
でも私の方が悲しい顔になってたみたい。おーちゃんがまた手を伸ばして来て、親指と人差し指で私の頬を挟んだ。おのずと尖る唇。多分アヒルみたいになってる。
｢山ちゃんが困るだけだから大丈夫だし。･･･あんがと｣
頬を挟んでた指を外すと、頭をさらりと撫でてくれた。いい子ってするみたいに。
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ao(プロフ) - ぐちこさん» ぐちこ様コメントありがとうございます〜。優しいお話は私の目指すところで、そこを感じ取ってくれて凄く嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。頑張ります！ (2019年3月14日 8時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
ぐちこ(プロフ) - こんばんは！お話をお見かけして、優しいお話に次々と読み進めてしまいました☆穏やかな主人公さんに、やさしいおーちゃん。また、主人公ちゃんを取り巻くやさしいいつメン☆温かな気持ちにさせてくれるお話をありがとうございます。これかも、楽しみにしています♪ (2019年3月13日 0時) (レス) id: d58eef616e (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» kiki様こんにちはー。お仕事大変そうですね。ここで癒せるならばたくさん癒してくださいね。私も頑張ります。確かにみんないい男ですよね。たまには悪い男でも出してみようかな。結局5人以外の男になりそうですけど(笑)。 (2019年3月11日 9時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - ao様 年度末の忙しさに癒してもらっております。こんなできる男達は見たことありません(//∇//)言葉のチョイスが素敵です！ (2019年3月8日 20時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - マコトさん» マコト様共感いただけて凄く嬉しいです。幸せです。ほんとに何度見ても飽きませんよね。見る度発見します重箱の隅をつつくように見てます。それでも感心するし飽きません。また是非遊びに来てくださいね〜！ (2019年3月7日 9時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2019年2月23日 17時
