3話 ページ41
･･･････これ文句言っちゃだめなのかな!
私はもう、30分も二人の様子を窺っていたら限界がやってきた。
どんどん進展していく仲に焦って、我慢できないとばかりに立ち上がってそっちへ行こうとしたら、隣のおじさんが私の腕を引っ張った。
｢ねーちゃん引いてるよ｣
｢え？｣
｢竿、引いてるって｣
｢あ！｣
慌てて座って竿を立てた。
でも後ろが気になるし！
いろいろ焦りながらリールを巻いていたら、おじさんに怒られた。
｢そんな無理矢理巻いちゃいけねぇよ。なに？まだ初心者？ 貸せって｣
おじさんは言いながら、自分の竿を置いて巻くのを手伝ってくれた。
｢･･･････ありがとうございます｣
｢姉ちゃん、釣りは自分との向きあいだからな？ 向き合った分だけ釣れるから。･････よしっ、来た来た。これも姉ちゃんが自分と向き合った成果だ。ほらよ。おぉ、いいシロギスじゃねぇか｣
釣れた魚がビチビチと私の前で跳ねている。
良かったな！ってバンバン肩を叩かれたけれど、私は喜べなかった。
私は全然自分と向き合えてなかった。なのに釣れちゃって、なんだかおじさんにも魚にも、申し訳なくなる。
･･････そのあともずーっと後ろが気になった。
･･･････でも、私は背後を見るのが今度は怖くなってきて、その後はひたすらおーちゃんに背中を向けて釣りをした。
おーちゃんの卒業旅行だから、おーちゃんに楽しんで貰わないといけない。
ややこしいこと言って困らせちゃいけない。
おーちゃんは自由が好きだから放っておいてあげなきゃいけない。
そう悩むほど、もう魚は一匹も釣れなくなった。
船が港に引き返し出して、私は帰り支度を始めた。
魚は旅館に持って帰ったら調理してくれるって聞いてる。メバル二匹とシロギス五匹。おーちゃんはあれから釣れたのだろうか。
無言勝負を続けたまま、結果最後まで喋らないで終わっちゃったからわからない。
･･････多分おーちゃんは、途中から私と喋らなくなってるとか、あんまり気にしてないんだろうな。･･･････勝負のことももう忘れてそう。
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ao(プロフ) - kikiさん» kiki様こんにちは。主人公ちゃんいい子なんで、たまに黒くしよう黒くしようとしてるんですが、なかなか染まってくれません。恋人が素敵だからでしょうか。私も青色さんに綺麗な色にしてもらいたいです！ (2019年2月26日 16時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - もちろん、こちらも拝読致しております！主人公ちゃんの清く芯のある人柄が凄く素敵ですねー！こちらも見習う事が多々ありまーす。感謝の気持ちって、ホント大事ですよね。 (2019年2月25日 18時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - わー、cocoro様コメント嬉しいです。お元気でしたか。何度も読み返したくなるようなお話を頑張って作るので、是非遊びに来てくださいね。一緒に楽しみましょう！萌えてくださーい。 (2019年2月25日 9時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
cocoro(プロフ) - aoさん、お久しぶりです。またこの子達に会えて嬉しいです。私はこれからも、いやもしかしたらこれまで以上にここに糖分補給に立ち寄るであろうと思われます(笑)。また一緒に楽しませてください。 (2019年2月24日 20時) (レス) id: 8d2a7d356c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2019年2月19日 20時
