37話 ページ12
控室に戻ったら、師匠がいた。
｢おや、和也｣
綺麗な銀髪の、私の師匠でもあるおばあちゃん。
｢･･････いつの間にうちの子と恋仲になったんだい？｣
開口一番にそう言った師匠。
私は驚いて言った。
｢どうしてそのことを･･････｣
｢さっき、協会長さんが来てね、教えてくれてたのよ｣
視線の先を追えば、こっちを見てにこにこ笑ってる観月会を仕切っている協会長のおじさんがいた。小さな頃から可愛がってくれていて、親戚のおじさんみたいな人。ちょっとお喋りなのがたまに傷で。
ニノが、｢はやっ｣って呟いた。
確かに早い。まっすぐ帰ってきた私たちを噂が追い越しているなんて、マッハの早さだ。
でもこれじゃあ嘘だったって言えない。おじさんが見ているし。
しかも視線を感じて周りを見渡したら、お弟子さん達が｢凄い凄い！いつかそうなると思ってたんですよね｣って、キャアキャア騒いでて、後には引けない感じになっていた。
まいったなぁって思った私が真っ先に思い浮かんだのは水谷さんで、申し訳ないという気持ちだった。
絶対嫌だと思う。
私はおばあちゃんに向かって一歩を踏み出した。
ニノの演技のおかげでお囃子のお弟子さんに諦めて貰えて安心していたけど、ニノと水谷さんの間に亀裂は入らせられない。
だから、デマだって言おうとしたの。
でも、一瞬早くニノが後ろから私の肩を押さえてそれを止めた。
｢ニノ？｣
ニノはおばあちゃんに向き直ると言った。
｢これからよろしくお願いします。隠しててすみませんでした｣
｢ニノ･･････！｣
直角に頭を下げるのを見て私は驚いた。
腰から曲げる、深い謝罪とも取れる礼を尽くした挨拶。
それはおばあちゃんが頭をお上げなさいというまで続いた。
みんな感動してて、その場にいる全員がこの件を信じていた。
私は胸を詰まらせた。
ニノ、どうして私のためにそこまでしてくれるの･･････。
おばあちゃんは真っ直ぐにニノを見つめて言った。
｢･････Aをよろしく頼みましたよ｣
｢はい｣
また頭を深く下げたニノ。その横顔が思いのほか真剣で、私は胸の鼓動が早くなるのを止められなかった。
凄くドキドキしていた。
･･････泣いちゃいそうだった。
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ao(プロフ) - kikiさん» kiki様、キュンとして貰えて良かったです〜。今日の更新もしてもらえるといいな。次回最終回です。お楽しみに！いつもありがとうございます！コメント貰えてとっても幸せです！ (2019年2月20日 8時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - ありがとうございます。ニノがやっとホントの笑顔になれましたね！最高に可愛い言葉選びにキュンとします！ (2019年2月19日 22時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» kiki様、おはようございます！さてさて、今日の更新もにやける一日のスタートにしてもらえるといいんですけど。私は更新前からにやけています。今から更新作業します。待ってて下さいねー。 (2019年2月19日 8時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - さとあすさん» さとあす様、待って下さってありがとうございました。お話を載せる準備は出来ていたのですが、気持ちが追いつかず。でも次第に妄想は今までの以上に溢れ出して。妄想が自分を引き上げると感じました。ありがとうございます。青さんのいいのあるんで、待ってて下さいね！ (2019年2月19日 8時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - おはようございます！朝から切なく、もどかしさからのにやける１日のスタートになりました！ (2019年2月18日 9時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年2月12日 13時
