13 がっちり握手 ページ13
聞けば、岡田君は空手部なんだそう。だけど、右手首を全治一ヶ月の負傷中で、どうせ部活にも出られないからいいよって。
｢A？ よろしくな。おーちゃんの頼みだったら全力で教えるからしっかりついて来いよ｣
｢は、はいっ！｣
｢いい返事だ｣
がっちりと握手を交わしたんだけど、手が折れるかと思うくらい力が強かった。
岡田君は完全な体育会系だ。
礼儀正しいのとキレのいい返事をすると喜んでるから。
智君がそんな私の間に、にょきっと入ってきて、驚いて岡田君と距離を取った。
｢Aじゃなくて、Aさんね？｣
｢はぁ？ 同級生だろ？ おまえはAちゃんって呼んでんじゃねぇか｣
｢･････嫌なら教えなくていいよ｣
｢なんだそれ！ 困るのそっちだろ!?｣
納得の行かない顔をしていたけど、結局、一度引き受けたことは最後まで筋を通したい岡田君の義理堅さに救われて教えてもらえることになった。
智君？
そこから一ヶ月、岡田君は本当にちゃんと勉強を教えてくれた。
放課後になったらこの準備室に集合する私達。
智君が窓際で絵を描いてるそばで、一個だけある机に向かい合って勉強をした。
岡田君は、筋力が落ちないようにって、片手に鉄アレイを持ちながら。私が間違えるとたまにその鉄アレイで脅して来る。
無駄口叩くの禁止って智君から言われてて、ただひたすらに勉強を教えて貰う毎日は、大嫌いなはずの勉強なのに不思議と充実していて。
１０月の天気のよい放課後、いつものように勉強を教えて貰っていたら、ふと見ると智君の絵筆が止まってて、椅子に座ったまま舟を漕いでるのを見て思わずくすりと笑っちゃった。
天気いいもんね。ポカポカした窓際だったら、そりゃあ寝ちゃうよね。
｢岡田君、ちょっと待ってね｣
私は自分の膝掛けをそーっと智君の肩に乗せた。
戻って、また鉛筆を手にとって教えて貰う体勢に入ったんだけど、岡田君が無言だったから顔を上げた。すると、思いがけず優しい目とぶつかって瞬きした。
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ao(プロフ) - あっちゃんさん» あっちゃん様、ご感想ありがとうございます。本当に見ているだけで、ほぅーっとなっちゃいます。口がポカーンと開いちゃって。美人さん過ぎます。あっちゃん様もご自愛なさってくださいね。頑張ります！ (2018年12月13日 9時) (
レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - はじめまして。いつもありがとうございます。ほんとに寒いですよね。成瀬期の彼はもう見ているだけで心も体も癒されます。なにかと世話しなくなる時期ですがお体を大切に、素敵なお話をお待ちしております。 (2018年12月12日 9時) (レス) id: cd7b6e55f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2018年12月1日 16時
