30 求婚 ページ30
｢はは、うん。やっぱりその呼び方好きだな。･････半年くらい前から覚悟はしてたんだけど、俺から手放すことは出来なくて、あいつから去ってくれるのを待っていたって言ったら･･････幻滅する？｣
｢ううん。そんなことない｣
私も智の時、そうだったから。
いっそ突き放してくれないかなってずっと待ってた。その方が楽だと思ったから。悲劇のヒロインぶれて。でも、優しい智は私に別れを告げられず、板挟みになって苦しんでいて、結局私の方が堪えられなくなって手を離した。
翔君は思い切ったように顔を上げて言った。
｢A、俺と結婚してくれない？｣
私は笑った。
｢自棄になるにも程があるわ｣
でも翔君は笑わなかった。
｢頼む｣
私はびっくりして目を見張った。
｢え、ちょっと、待って･････｣
｢冗談みたいだけど本気だから。昨日今日思いついたことじゃない。あいつの心が離れて行っているのに気づいた時から、ずっと考えてた｣
｢まだつきあってたのに？ ･････そんなのだから駆け落ちされちゃったんじゃないの？｣
｢うん、まぁ･･････そうかも｣
情けなさそうに笑って俯いちゃった翔君を見て、私は慌てて近寄って、床にしゃがんで翔君の膝に手をかけた。
｢ごめん、言いすぎた。･････翔君は私と立場が違うもんね。後継者だもん。いろいろと先のこと考えなきゃいけないよね。･･････何か考えがあるから私がいいと思ったんでしょう？｣
翔君の大きな瞳が揺らめきながら私を見つめた。
｢････Aは優しいね。怒って当然の申し込みなのに。まぁ、派閥や権力争いやらのごたごたがあって、なるべく早く結婚しなきゃならないっていうのもあるんだけど、１番は、Aのことがやっぱり好きだからだよ。恋人と別れて一人になるたび、Aがそばにいてくれたらなぁってずっと思ってた。この年になってますますそう思う。俺はAと結婚したい。きっと、俺達幸せになれると思う。･･････考えてくれないか｣
｢翔君･･････｣
私はどうしたらいいかわからず途方にくれた。
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ao(プロフ) - あゆねさん» あゆね様ありがとうございます！私も羨ましいです。こんな元彼がいたらいい思い出作れそうです。頑張ります。感謝です。当分 (2018年11月15日 14時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
あゆね - このお話がとても好きで、毎日読んでいます！主人公ちゃんがほんとに羨ましいですね(笑)これからもaoさんのペースでがんばってください！応援してます！ (2018年11月12日 0時) (レス) id: 1048fe7101 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ユミさん» ユミ様、読んでいただけて感謝です。二人に挟まれて羨ましい限りです。今後もご期待下さいませ！ (2018年11月11日 7時) (レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
ユミ(プロフ) - 今日も続きが読めて嬉しいです！翔くん出てきたー！と思ったらかなりグイグイでキャー！です。智ってば寝てる場合じゃないのにー！とニタニタしておりますよ（笑） (2018年11月10日 20時) (レス) id: 5a2a163833 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ユミさん» ユミ様コメントありがとうございます〜！新作も萌えを追求していますので、是非ご一緒にときめいて下さい。気に入ってくださるといいのですが。ありがとうございます！ (2018年11月8日 20時) (レス) id: 1822afa89a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2018年11月1日 14時
