38 贈り主 ページ38
｢じゃあ、じゃあどうしてあんなことしたのよ。斗真があんなことするから私たちこうなったんじゃあ･･････｣
掴まれた手が痛くて引き抜こうとするんだけど出来なくて、斗真の本気が伝わって来る。
｢それについては謝るしかない。でも俺は｣
｢とにかくここじゃあ。離して、斗真｣
トイレは細い通路の奥にあって、死角だから人に見られることはないと言っても、他のお客さんがいつやってくるとも限らない。
｢じゃあこの指輪の相手だけ教えて｣
｢相手なんていないよ｣
｢じゃなんで俺の指輪外してこんなのつけてんだよ！｣
｢それは･･････｣
言いかけた時だった。第三者の声が割って入った。
｢はい。指輪贈ったの俺だから｣
照明の加減で顔がわからない。でも、コツコツと革靴の足音をさせながらこちらにやって来るシルエットは見知ったものだった。
｢櫻井さんっ｣
現れた櫻井さんは、微笑んで言った。
｢その手、離してやってくれる？痛そうだから。恋人にすることじゃないだろ？｣
ハッとした斗真は慌てて離した。
｢ごめん！｣
｢大丈夫だよ。･････それより、えっと、櫻井さんはどこまで聞いてらしたんですか？｣
恐々尋ねる私の隣で、斗真が櫻井さんと私を見比べて驚いている。
｢A、櫻井さんと付き合ってるのか!?｣
いえいえ、違いますから。
｢ヤバい･･････。他の奴らなら勝てると思ってたけど｣
状況も考えずに思わず吹き出しそうになった。
それどういう意味!? 怒られるよ!?
｢じゃあこの指輪は櫻井さんから貰ったもの？｣
否定しようとしたのに、櫻井さんが先に答えた。
｢そう。もう婚約までした仲だから。ね？ A？｣
そう言ってさりげなく私の肩を抱いて微笑む櫻井さんは、端から見れば極上の彼氏なんだけど、今の私からすれば悪魔にしか見えなかった。
｢さ、櫻井さん！｣
｢A。戻るのが遅いから迎えに来たぞ。俺、最近ジャンケンが強いんだよね｣
ジャンケン？ 何の話ですか!?
｢戻って、ゆっくり話そうか。･･････指輪の真相と、ラブラブだって嘘をついてたわけをね｣
笑ってるけど、目が全然笑ってなかった。魂を刈りに来た死神にしかみえない。
肩を抱く手は優しいのに、まるで檻のようで･･････私は震え上がった。
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ao(プロフ) - ねこっぱちさん» ねこっぱち様。レス遅くなってしまいました。失礼しました。コメントありがとうございます。今も読んで下さってますでしょうか。社長編起きに召しました？私もここの事務員なりたいです！これからもよろしくお願いいたします。 (2018年8月2日 15時) (
レス) id: e96312c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこっぱち(プロフ) - お気に入り1番目Σ(ﾟ艸ﾟ〃)思わずコメントしてしまいました！いつも楽しく読ませて頂いてます。この代理店事務員もう1人雇ってくれないかしら〜♪ (2018年7月13日 14時) (レス) id: 8896252b64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年7月11日 5時
