48 窓の下 ページ1
その夜、次の作品のために資料作りをしようととりかかっていたら、コンと窓に何かが当たる音がしてカーテンを開けると、窓の下に櫻井先輩がいた。
びっくりして窓を開けたら、月の明かりをすらりとした体に受けながら、降りてきてって手招きで私を呼んだ。
明日は週末。先輩も海の家を手伝いにやって来る日だった。
｢ごめん。順調に書いてた？｣
｢書いてましたけど、助かります｣
どうしてって聞かれて、順調過ぎると後で絶対書き直しが入るから、立ち止まる時間が必要なんで助かりましたって言ったら、眩しそうに目を細めて、良かったって綺麗に笑った。
相変わらず王子様感が強い人だ。
｢ちょっと散歩しない？｣
｢喜んで｣
先輩とは一度二人で話してみたかったから。
帽子とサングラスがないことに気づいて取りに戻ろうとしたら止められた。
｢夜だよ!? いらないでしょ!?｣
｢でも先輩の迷惑になるから｣
私に誘惑されちゃわない？
すると先輩は少し寂しそうに、もう誘惑されちゃってるから大丈夫って言って、胸がキュンとなった。
海岸沿いの道路に出て、歩道を歩いた。今夜は風が少ないから波も穏やかで、二人が歩く靴音がよく響いた。
｢先輩って銀行でモテるんでしょう？お客様からも、同僚からも｣
｢あー、どうかな。･････その点に置いてはAの悩みと一緒かな｣
｢･････先輩にもフェロモンありますもんね｣
｢違う違う。 ･･････俺の親の問題。頭取だから、やっぱりその息子って見ちゃうでしょ？ ほら、Aもフェロモンのせいで、本来の自分を評価されてるのか分からないって言ってただろ？ あれと同じで、好意を寄せられても俺本人がいいのか背景がいいのかって、悩んだ時期はあったな｣
｢･･････今はもう悩んでない？｣
｢魅力の一つだって思ってる。それを凌駕するくらい俺自身が輝けばいいことなんだって｣
そう言って笑った先輩は、とても頼もしくて、私は自分の小ささを感じて恥ずかしくなった。
私も引きこもったり帽子やサングラスで隠さないで、もっと自分自身を磨いて、強みに変えなきゃいけないんだ。
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ao(プロフ) - 名無し30041号さん» 名無し30041号様、ご感想ありがとうございます！凄くいいところって言って貰えて、思わず自分で読み返しました。嬉しいです。次回も内容濃いいですのでお楽しみに！ (2018年6月8日 6時) (
レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
名無し30041号(プロフ) - 初コメ失礼します。毎回読ませていただいています。すごく面白くて大好きです！今回すごく良いところで終わってて続きがすごく気になってます！更新楽しみにしてます！！ (2018年6月8日 6時) (レス) id: b3503f4c8d (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 小春柴犬さん» 小春柴犬様。ありがとうございます〜。続投大歓迎です。倉庫のシーンは私の中でこの作品の中でＴＯＰ３の萌え所です。楽しんで下さいねー！ (2018年6月7日 8時) (レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - それにしてもお髭な大ちゃんもワイルドで素敵なんでしょうね（妄想）ヒロインちゃんも素敵なお話書けるといいなぁ。潤君ニノ雅紀君皆可愛い!先輩爽やかです。モテモテ羨ましい!続投すみませんm(_ _)m (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - あおさん更新お疲れ様です!お金じゃなくて愛情が欲しかったんですね夕子さん。子供って何!気になる…逃走しちゃいましたね（笑） (2018年6月6日 16時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2018年5月25日 9時
