席に座る ページ40
「スリザリン！！」
組み分け帽子が声たかだかに宣言した。ワッと一番右の席から歓声と拍手が耳に入った。そのままグイっと帽子を脱ごうとして、少しだけ手を止めた。
「歌、最高だった」そう言ってから、Aは脱いで椅子の上に置いた。
マクゴナガル教授が「ターピン・リサ！」と呼ぶのを背中で聞きながら、歩いてスリザリン生が座っている長机と向った。グリフィンドールの席とは真逆だったので、ハリーとハーマイオニーの事は残念ながら、見れなかった。
その時、一番手前の空いている席に座れば、隣に座っていた黒髪の女の子が握手を求めてくる。
「パンジー・パーキンソンよ」
「あ、A・サトウです」
それに応じて、握手をすればニッコリと彼女は笑みを浮かべる。Aは目の前に座っている男子にも挨拶をした方が良いだろうか、と思い、手を差し出す。
「A・サトウです」
「……セオドール・ノットだ。よろしく」
ウサギ顔の男の子は表情斤が死んでいるのか、はたまた迷惑だったのか、ニコリ、いやピクリともせずに握手に応じてくれた。
因みに、最後に呼ばれた生徒、「ブレーズ・ザビ二」はスリザリンになって、Aの隣に座った。
「おめでとう！ ホグワーツの新入生、おめでとう！」
上座を見てみれば、ホグワーツの校長、アルバス・ダンブルドアが立ち上がっていた。
「歓迎会を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい。では、いきますぞ」
彼は、どうやら変わり者らしかった。日本の学校での経験で、校長の「二言、三言」は「二十分、三十分」のことだと、肩をすくめて身構えていたのだが……。
「そーれ！ わっしょい！ こらしょい！ どっこらしょい！ 以上！」
本当に「二言、三言」だった。少し、拍子抜けしてしまう。しかし、周り――――少なくとも先輩たち、先生方は拍手喝采だった。
Aも後から小さく拍手をして、それからテーブルの方を見る。そして呆気にとられた。
目の前の机には、所狭しと沢山の食べ物が並べてあるからである。
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年4月25日 18時
