どうもこんにちは日本人と賢者の石です。 (ページ23)

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出発進行ページ23

あまりにも似すぎていた二人、ジョージとフレッドは、やはり、家族で兄弟で双子だった。

　彼ら二人のおかげで、あの重い荷物は無事に、そしてやっと客室の隅におさまった。

「フレッド？ジョージ？どこにいるの？」

　遠くから女性の声が聞こえてきた。双子がその声に向かって、「今行くよ」と返事をした。そして、ハリーを見つめると、双子は列車から飛び降りた。

　ハリーが窓際に、Aはその反対側に座った。

　彼はプラットホームの赤毛一家を眺めていたが、Aは窓の外の、動かない景色を見るふりをしながら、実は、ハリーをこっそり見ていた。

　一目惚れした、とかそういうのではない。

　ただただ、気になっただけ。なぜ、さっきの双子があんなにも、本当に穴が開きそうなほど彼を、正確には彼の額の傷を見ていたのか。

　Aはこっそり首をかしげる。確か、一人の男の子の話を聞いた気がしたんだけど……。

　プラットホームから赤毛一家の話声が流れてくる。「ロニー坊や」、「監督生になったのかい？」、「夏中いってたような」、「トイレを吹っ飛ばす」、「はなたれロニー坊や」……などなど。

　しかし、Aはほとんど聞いちゃいなかった。この「ハリー・ポッター」にどんな事情があるのか、想像していたからである。

　もしかしたら、この人は世界の救世主かなんかで、世界を救った時に傷がついた。で、それがあまりにも有名だから皆が、ただのの傷に関心を示すのかも……。

　Aの頭の中で、なぜか緑色の頭に触覚が二本ほど生えた魔王と、幼いハリーが戦っている瞬間を想像していたその時、笛がなった。赤髪一家の母親らしい声が、子供たちを急かした。

　汽車が滑り出した。はじめはゆっくり、ガタン、ゴトン……とそしてゆっくりと、しかし確実に速度を上げる。

　Aは、ふと、もう一度だけ家族が見えないか、と思い窓際によった。

　結果としては、見えなかった。第一に、人が多すぎる。第二に、汽車がカーブを曲がったから。

　コンパートメントに座っている少年と少女は、お互い、喋らなかった。お互い、喋りたくない、というわけではない。ただ、何を喋ればいいか、どう切り出せばいいか、分からなかったのである。

　仕方なしに二人は、窓の向こうを見ていたが、いつ終わるのかもわからないのに、これは辛い……とお互いに感じていたのは、仕方がない。