9月1日 ページ19
約1か月、Aはロンドンのお家で大人しく待った。例えば、家族になったふくろうに『ズク』という名前を付けるとか。
というかは、大人しく待つほか選択肢がないわけである。
そして9月1日。Aのホグワーツ魔法魔術学校入学式だった。
Aは自室となっていた、2階の部屋のベットの中で目を開けて、耳を澄ませていた。両親の声、もしくは冷蔵庫を開ける音、もしくはお皿を取り出す音がしないか、どうか。すれば、両親はもうとっくに起きていて、娘が下に行っても、恥ずかしくない、というわけだった。
まあ両親が起きていないのに、下に行って1人待っているのは、ためらわれたからだ。
パタン、と控えめに冷蔵庫が開いて、閉まる音がした。そしてその後に続くカチャカチャというお皿の音。――――よし、大丈夫。
Aは、まさに今起きましたよ、という風の足音をワザとだしてベットから出る。階段を降りるときに、音で起きたのでまだ眠いですよ、という風の顔もつくった。
「あら、おはよう」
「んん〜……」
まったく目はかゆくないし、しょぼしょぼしているわけでもないが、目をこすりながらリビングルームに入る。
リビングの真ん中にある大きめの机には、もう朝食がのっていた。昨日のうちに作り置きしておいたのだ。
「もう食べちゃう?」
「んん〜……」うん。の代わりに喉の奥で返事をした。
朝食を食べ終わってから、Aはもう一度自分の部屋に行く。『学校に必要な物リスト』を、これで何回目になるだろうか? 見返して、忘れ物がないか確かめるためだ。
9時。ようやく父親が起きてきた。髪の毛が、ぼさぼさだ。母は父が朝ご飯を食べ終わってから、ようやく、身支度を始めた。
娘は、母が「そろそろ準備しなさい」というのを聞いてから、準備に取り掛かる。
もちろん、聞いてからなのはワザと。
10時。佐藤家は全員、準備が整った。
Aは、ホグワーツに行く手段だという、『ホグワーツ特急』の中で、制服に着替えることにしたので、いつもの私服を着ていた。
父はスーツ、母は授業参観に行くような、シンプルかつ、小ぎれいな服を着ていた。
10時15分。なんとも大きなトランクがあるため、タクシーを呼んで、3人は入り込んだ。ふくろうの『ズク』の鳥かごはAが自分で持っていた。
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作者名:蒼使ヰ | 作成日時:2020年4月25日 18時