ふくろう ページ15
母がマダム・マルキンにあれこれ言っていたので、少しばかり遅くなったと思った。
しかし、制服(ローブ、三角帽子、冬用マント)などが入った袋を手にして店を出た時、ちょうど教科書が入った袋を抱え、ちょうど店に入るところだった父に会った。
次に、大鍋とガラス製の薬瓶、望遠鏡、真鍮ばかりをそれぞれの店で、それぞれ一組づつ買った。大鍋は、純金の物もあったが、必要なリストにならい、
「あとは……ああ、杖か」
父がリストを見るのに、ピクリと娘は思わず反応してしまった。
杖！ これこそAが本当に欲しかった物だ！ ――――そりゃあ、魔法の教科書も十分欲しかった物だが。
「どこで買うの？」
「まあやっぱり、『オリバンダーの店』かな」
「私もお父さんも、そこで買ったわ」
へぇ、と感心する声を上げながらふと、ホーホーと声のする方を見た。『イーロップふくろう百貨店――――森ふくろう、このはずく、めんふくろう、茶ふくろう、白ふくろう』だ。
娘のその視線に、父も母も気が付く。そして顔を見合わせた。
「入る？ 良いわよ」
「えっ」
「欲しいんでしょう？ 良いわよ。……やぁだ、それ位のお金はあるわよ……」
母の顔を見上げれば、笑っていて、反対を見ればやはり父は笑っていた。
少し考えた後、Aは両親と店の中に入っていた。店は少々薄暗い。そして、キラキラと、についの目が輝いている。ふくろうたちの目だ。
しかし、こう、なんだ、ピンとくる子がいない。
それも母親は感じ取ったようだ。父親はしげしげとふくろうを除いている。
「日本に生息するふくろうはいない？ この子――――私達、日本人だから、もしかしたら日本に生息するふくろうの方が良いと思うの――――……」
「日本に生息する、ですか……でしたら、『このはずく』なんかどうです？」
店主がチラリとAを見る。
「小柄ではありますが……お嬢さんにはピッタリかと」
そう言って、持ってきたふくろうを見せる。大きさは２０ｃｍほどで、上の方は赤みのかかった毛色、下の方は、薄い茶色をしている。
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作者名：蒼使ヰ | 作成日時：2020年4月25日 18時
