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「どういう意味です…?」
「…だって、副隊長…俺の事、凄くまっすぐ褒めてくれましたし。俺の事、頼ってくれて。…俺、副隊長がそればかりの人だとは、思えません」
「……それは、来たばかりだから言え、」
「そんな事ないですよ! 副隊長は優しいです!」
まっすぐなFBの青の瞳。それが俺を貫く。
その瞳から視線を逸らしつつ、俺はほんの少しだけ唇を噛んだ。
「…優しくなんてないですよ。……ただ、弱いだけだ」
副隊長なんて、任せてもらえるような立場じゃないのに。
……俺なんかが、どうして。
「…副隊長…?」
顔を俯かせた俺を心配そうな眼で見てくる。
だが、表情を見られたくない俺は俯いたまま。
不意に、ふわりと人肌のぬくもりが来た。
FBが俺を抱きしめているのだと気づく。
「…F、Bさん…?」
「…そんな顔しないでください、副隊長。……俺は、副隊長の事信じてますから」
FBがぱっと浮かべた笑みに緩みそうになる頬をおさえ、俺は顔を逸らす。
「……ありがとうございます」
「いえいえ! …そういえば、副隊長の名前ってシィナノルトですよね?」
「……そう、ですけど」
俺はきょとんとして頷く。
はっとしたらしいFBが、俺からそっと離れつつ顎を摘んだ。
俺の名前を呼ぼうとしているようだが、口をもごもごさせてFBは言う。
「んー、俺、副隊長の名前言おうとするとどうしても噛んじゃうんですよね」
「…別に、好きに呼んでくれて構わないですけど…」
「…じゃあ…ナノ! ナノって呼んでいいですか?」
まるで何かを発見したかのように、キラキラとした笑顔を浮かべるFB。
この人本当に軍兵ですか。
「いいですよ。……じゃあ、俺からもひとついいですか?」
「勿論ですよ、ナノ!」
「…敬語、使わなくていいですよ。普通に話してください」
「…いいんですか?」
困惑した表情で俺を見るFBに、俺は頷いた。
その表情をまたすぐに輝かせて、FBは俺に抱きついてくる。
「…じゃあそうする! じゃあじゃあ、俺の事もふぶって呼んで!」
「ふ、ぶ…ですか?」
「そう! 俺、前の部隊での愛称がふぶだったんで! ふぶ、って呼んでほしいな、ナノ!」
「……分かりました、ふぶさん」
俺が軽く表情をゆるめて言えば、FB……いいや、ふぶさんも笑みを浮かべていた。
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長閑(プロフ) - 麒麟さん» 書いてる話が男主なんでどうしてもそういうふうに傾いてっちゃうんですよね、なんででしょう(すっとぼけ←) 読んでくださってありがとうございました! (2015年6月28日 19時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
麒麟 - 面白いです!これはホモォ・・・「(^o ^)」な展開ですかね・・・! (2015年6月28日 18時) (レス) id: a165517e8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長閑 | 作成日時:2015年2月28日 3時