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「やっほー、ごめんね、面倒な事させちゃって」
「いえ…。それで、なんでしたか?」
「…FBとは、ど?」
「ど、って…えっと…ぼ、ぼちぼちと言いますか…」
「うまくやれてるならいいんだけどさ」
 きっくんは建物の縁に腰掛け、足をぶらぶらとさせている。
 うちの司令官、随分危機感がないんですけど。
「…FBはどうかな? 役に立った?」
「そういう言い方は、よくないと思いますけど…。…そうですね…、まっすぐで。嘘が吐けなくて。ばか正直っていうか。疑う事を知らないみたいに。…でも、いい人ですよ」
「…そっか。なら良かった。FBを配属した甲斐があったってもんだよね」
 仰向けに寝転がり、きっくんは後ろで立ったままの俺を見る。
「…眼赤いけど、どうしたの」
「え? あ、赤くないですよ。ほら、髪の毛が赤いから、ちょっとしたそのせいです」
「そんな必死に隠さなくてもいいのにww」
「…あの、きっくん。ひとつ、聞いてもいいですか」
「んー? いいよー?」
 俺は息を吸い込み、言葉を紡ぐ。
「…どうして、俺を副隊長に?」
「シィナノルトが一番合ってると思ったから。…それじゃだめ?」
「俺は、えおさんにも敵いません。あろまさんが医療部隊も持っているのはわかっています。けれど、俺は副隊長なんて器じゃない事、わかってますよね」
「…俺がシィナノルトに求めてるのは、えおえおを越せるような強さでも、あろまみたいな知力でもないよ」
 きっくんの声が、真剣味を帯びた。
 視線は空に向けられて、黄と青の色が混ざり合っている。
「…シィナノルトはさ、今回の戦況においても、前回の演習においても、その前の戦場でも。戦況を一番良く見ていたと思うんだよね。それに、演習の時、FBが適役だとすぐに察する事もできた。そしてFBにすぐに任せられた。……そう言った順応性が、シィナノルトのいいところだと俺は思うんだよね」
「…順応性…?」
「うん。シィナノルトは自分の事弱いって言うけどさ。何食わぬ顔で演習の時えおえおとコンビ組んでたけど、あれって普通の兵士じゃ出来ないよ。だからもっと自信持ちなよ、自分に。大丈夫。俺ら全員のお墨付きだから。…シィナノルトが思ってる以上に、いいところいっぱいあるよ」
 そう言って笑ったきっくんが、俺を見る。
 そんなきっくんに、俺もやんわりと笑い返した。

3→←うちの新参兵はかなりおかしい。 1



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長閑(プロフ) - 麒麟さん» 書いてる話が男主なんでどうしてもそういうふうに傾いてっちゃうんですよね、なんででしょう(すっとぼけ←) 読んでくださってありがとうございました! (2015年6月28日 19時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
麒麟 - 面白いです!これはホモォ・・・「(^o ^)」な展開ですかね・・・! (2015年6月28日 18時) (レス) id: a165517e8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長閑 | 作成日時:2015年2月28日 3時

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