【MSSP】Supernova Remnant【男主】

進級　※Ａ ページ23

おれ達が“ここ”を目指した原点はすべてジュードだ。
　昔、F91への復讐だか報復だかの為に襲われたえおえおと一緒にいたおれらも狙われた。
　それを助けてくれたのがジュードだ。
　子どもながら子どもみたいにわんわん泣き喚くおれ達に接してくれた優しさとか、その不器用に端的な話し方とか。
　それまでF91のイメージが強すぎて好きどころかむしろ嫌いの部類にすら入っていた軍兵が、見事なりたい職種一位に躍り出たのだ。
　あの時は、入学したての頃は、ジュードに夢を見ていた。おれ達の感じた格好良さとか理想とかを詰め込んで見ていたんだろう。
　もう今はそんな不相応な理想は見ない。夢は見ない。
　憧れなんて安っぽいものではなく、走り続けていくのだ。その先へ。

「は〜〜〜い進級オメメトさん。連絡事項なし、終わり〜〜〜かいさ〜〜〜ん」
「こらF91」
「だァってよォ。言うことね〜だろ？ 特に」
「ないよ。ないけど。ないんだけど」
　全生徒での集会が終了し、割り当てられた教室の教壇に立ったF91は面倒くさそうな顔で隣にいたジュードを見た。
「ないならい〜〜〜じゃねーか。サッとやってサッと終わろうぜ」
「もう少しこう…2年生になるから、とかないの？」
「ね〜ですね」
「持ちなよ…。…みんなお疲れさま。3日間はおやすみだから、帰省とかしてくれて構わないよ。2年生も頑張ろうね」
　柔らかい声でそう告げたジュードに、きっくんが大きく声を出して机に乗り出すようにして視線を向ける。
「ハーイ！ あっ、なあなあジュードは？ ジュードはどうすんの？」
「僕？ 僕は軍学にいるよ」
「おれも軍学にいるぜ？」
「F91には聞いてない」
「つめてーよえおチャン。たまには帰ってきてとかねーの？」
「ない。うるせぇし」
「酷くないこの弟？ どう思いますジュードさん」
「自業自得じゃない？」
「ひっでーな！」
　淡白なジュードの返しにF91がケラケラと笑う。
　そういやこないだみんなで出かけた時、あいつほとんどいなかったな。いいけど。
「ジュードくんも〜ちょいバディに気を使ってくれてもいいんじゃねーの？」
「あー、売り切れとなっております」
「嘘だろ！？ 全部！？ 今期分もう売りきっちゃった？ そんなにおれの徳ヤバい？？？」
「さりげなく近いところで区切らないでよ今年分だよ」
「嘘だろ始まったばっかだけど！？！？ もう！？ 早くなァい！？」
　バッサリと言い切られオーバーリアクションで返すF91。ここぞとばかりにおれは口を開いた。
「F91うるせぇんだけど」

進級_２　※F9→←原点

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す