僕らがいる理由_2 ページ3
職員室では人の眼が多い。その為僕達は僕とF91の部屋に移動して来ていた。ほぼ僕らの個人雑務室扱いの部屋だ。他の指導員は別に住居を持っているにも拘らず、僕らはちゃっかりベッドなんかを持ち込んでここで寝泊まりしている。
僕とF91は机に付属の椅子、えおえおとFBはソファ、きっくんと研修が終わって合流したあろまがベッドに座っていた。僕らの部屋に案内したのは初めてなので、4人共物珍しそうに落ち着かなそうな顔で周囲を見渡していた。まあ基本ここに来る必要性もないしね。
そろそろ話をしようかと口を開こうとしたのとほぼ同時に、あろまが片手を上げた。
「…その前に一個聞いていいか、ジュード」
「…どうぞ?」
周囲をきょろきょろと見回して、それから僕に鋭い視線を向けるあろま。
「何でベッドが一個だけなんだよ!?」
ここで寝泊まりしている云々の話は、この部屋に案内時に説明したのだが、この雑務室にはきっくんとあろまが座っているベッド一つしかない。
「え? それは…」
僕がチラとF91に視線を向けると、あろまがギラッとF91を睨み付ける。
「ああ? そりゃおれがそこのソファベッドで寝てっからだけど?」
そう言ってえおえおとFBが座っているソファを指差す。えおえおとFBがソファをモフ…と触り、背もたれのブランケットを凝視し、えおえおが「本当だ」と言った。
「…実家の部屋と同じスタイルだ」
「実家でもそんな感じだったのF91…」
「アッハハ!」
「…ベッドは僕が使ってるんだよ。安心して、2人で寝るなんて事してないから」
「…そうか…」
安堵した表情であろまが息を吐く。さすがにそこまでパーソナルスペース許してないよ。
「ジュードがここで寝てんの!? うわーっマジか! 本当だジュードの匂いする!!」
知るやいなや、ボフンと掛け布団に寝転がるきっくんに、僕が曖昧に笑う。
「僕のにおいとか分かるの…?」
「分かる!! めっちゃいい匂いする!」
「…そう…」
大興奮、という様子できっくんが掛け布団を抱きしめる。ソファに座っていたFBがワッと声をあげた。
「きっくんずるくない!?」
「遠慮してベッド選ばなかったお前が悪いんですー!」
「おれも勝ち組」
「まあ毎日一緒にいるおれが一番の勝ち組だけどな」
ハン、と鼻で笑うF91に、僕は「大人げないな…」と苦笑する。
しかしこのF91の大人げない一言、4人にはまあまあ効いたようでかなり嫌そうに白けた目線をF91に送っていた。
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長閑(プロフ) - 代口さん» 初めまして、コメントありがとうございます!当作品を読んでいただきありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです!趣味詰め詰め小説ですが今後もゆっくり更新していきます。よろしくお願いします〜! (2022年8月9日 1時) (レス) id: 4a86d0b1da (このIDを非表示/違反報告)
代口 - 初めまして、コメント失礼します。話に引き込まれて最後まで読んでしまいました、とても素敵な作品と出会えて良かったです。今後の更新も楽しみにしています。 (2022年8月5日 6時) (レス) id: fb96c304db (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 陵さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです!お話は短編の方にその後の話としてあげようと考えていますのでしばしお待ち下さい!読んでくださりありがとうございました!ゆっくりですが今後も更新していきます。よろしくお願いしますー! (2022年5月3日 1時) (レス) id: 4a86d0b1da (このIDを非表示/違反報告)
陵(プロフ) - コメント失礼します!完結おめでとうございます!!とても素敵な作品に出会えて幸せです、、!5人のお話や脳筋ぶち破り話(?)も楽しみにしています!! (2022年5月2日 2時) (レス) @page50 id: ef30949f28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長閑 | 作成日時:2020年1月26日 3時