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挑め試験_6 ※F ページ19

めちゃ走って、肩で息をした。ある程度の所で立ち止まって呼吸を整えつつ、余計な返しをしてくれたえおえおを若干憎みながら俺は控え室へと引き返す。
 控え室の扉のノブに手をかけた時、ジュードとえおえおが話す声が聞こえて、俺は思わず手を止めた。
『…ジュードは、なんでそんなに俺らの事信じてくれんの?』
『…僕とは違うってわかってるからさ』
(違う?)
 信じるに値しない人間かどうかという意味か、それとも、俺が聞くより前の話にかかっているのか。中途半端に聞き耳を立てた俺にはよく分からなくて、結局扉の前でフリーズしたままになる。
 どうやらえおえおも戸惑っているみたいで、しばしの沈黙したえおえおが、
『…それってさ、ジュードの昔の事に関係してんの?』
 と言った。
 ああ、そこに踏み込んでしまうのか、と俺は思った。
 それでいて、えおえおだから踏み込めるんだろうか、とも思った。
 俺は、俺達は、どうやってその場所に踏み込んだら良いのか、踏み込んでも良いのか、彼を傷つけないか。言わずとも互いの懸念によって口を噤んでいた。
『ちょっと違うけど、まあ、そうかな』
 ジュードの声に拒絶は無かった。ただ少しだけ、悲しそうに聞こえた。
『えおえおにはみんながいる。僕は…独りで至ってしまったけど…、…同じように、FBにも、きっくんにも、あろまにも、同じように心強い味方がいる。だから、違うでしょ?』
『…うん、そうだな。…F91は本当に役に立たなかったんだな…』
『えええ? どこからそうなっちゃったの?』
 強くしみじみと言ったえおえおに、俺は思わずブハッと吹き出した。笑い声で気づかれたので、俺はようやく控え室の中に踏み入る。
「FB、落ち着いた?」
「落ち着いた。てかえおえお、そこでF91の話になるの全然ブレなくて本当ズットモだなお前」
「いや、だってそうだろ」
「わかるけどさ!」
「わかるんだ…」
 困ったように笑うジュードは「元々ちゃんと言ってなかった僕が悪いんだよ」とまた笑った。
「そんな事ないでしょジュード! だってF91はジュードにとって俺らみたいな感じだったんでしょ? ねぇえおえおちゃん!」
「うるせえ。…でもそう。にも拘らず“独りで”なんて言わせるとかマジでゴミ。カス」
「F91へのあたりが強い」
「えおえおの深刻なあろま化」
 渋い顔をしたままのえおえおに俺が苦笑する。ジュードは柔和に笑む。
「…ありがとう、僕の為に心を砕いてくれて」
 俺らは顔を見合わせて、ニッと笑った。

この悪友はどこにでも現れる→←挑め試験_5



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長閑(プロフ) - 代口さん» 初めまして、コメントありがとうございます!当作品を読んでいただきありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです!趣味詰め詰め小説ですが今後もゆっくり更新していきます。よろしくお願いします〜! (2022年8月9日 1時) (レス) id: 4a86d0b1da (このIDを非表示/違反報告)
代口 - 初めまして、コメント失礼します。話に引き込まれて最後まで読んでしまいました、とても素敵な作品と出会えて良かったです。今後の更新も楽しみにしています。 (2022年8月5日 6時) (レス) id: fb96c304db (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 陵さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです!お話は短編の方にその後の話としてあげようと考えていますのでしばしお待ち下さい!読んでくださりありがとうございました!ゆっくりですが今後も更新していきます。よろしくお願いしますー! (2022年5月3日 1時) (レス) id: 4a86d0b1da (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します!完結おめでとうございます!!とても素敵な作品に出会えて幸せです、、!5人のお話や脳筋ぶち破り話(?)も楽しみにしています!! (2022年5月2日 2時) (レス) @page50 id: ef30949f28 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長閑 | 作成日時:2020年1月26日 3時

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