【ＭＳＳＰ軍パロ】黄麟雷紅【男主】

ストラテジー・オブ・ザ・エネミー ページ20

きっくんとの他愛のない話を済ませて、俺は１人ＭＳＳＰの下に属す部隊の一兵に案内された部屋にいた。
　ベッドとテーブル、通信端末以外のない簡素な部屋。来たばかりだから当たり前だといえばそこまでだけど。
　ベッドに腰掛け、黙ったままついてきてくれたマークの眼の間より少し下を撫でた。
「マーク、良かったのか？ 着いてきてくれて」
　小さな俺の問い。マークは小さく首を傾げて、あまりこぼさない声を出した。ゎふ、とこぼされた小さな声に、俺は苦笑する。
「疑ってないよん。機嫌悪くするなよ〜。お前の忠誠心に嘘はない事、分かってますよ」
　すぐに意向を変え、“俺達”を見放す人間達、上層部とは違う。こちらがそれを揺るがす様なことをしなければ、マーク達の忠誠は永遠と言ってもいい。
　ピピピ、と電子音が左側頭葉周辺で鳴った。音は内部だ。おそらく連合軍の方が今の俺とコンタクトをとろうとアクセスを試みているのだろう、と察する。
　この機械式の身体は厄介なことに、向こうにアクセス権限を握られると、途端に意識の有無に関わらず動作機能がこちらからはできなくなってしまう。
(あいつら超しつこい…止めるの大変なのに)
　鳴り響く電子音は止まらない。通信端末を起動してみたものの、当然の事ながらそういった対抗策があるわけもなく、俺は腕を組んだ。
　人工筋肉の軋む音が閑静な部屋に響く。後ろで床に伏せたマークは上目にこちらを見ていた。
「んー、どうにかしたいけど…どうしよ」
　このままではよくないのだとよく分かっているが、いかんせん解決の方法が見つからない。
　ふむ、と考えていた俺の部屋の扉が、ノックされた。
「ハイ」
　軽く返事を返せば、扉が開く。先にいたのは、赤茶の長い髪を揺らす、ハイビスカスの花の飾りをつけた少女。どこか見た事のある面影があったが、はて、と思いつつ口を開いた。
「どちら様で？」
「あぁ、挨拶が遅れちゃったわね。わたしはＰ*suKE。ＭＳＳＰオペレータよ。よろしく」
　そう少女…Ｐ*suKEが言ったと同時に、マークが俺の隣へ座った。

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