やさしさの歩み ページ10
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(#11とお手伝い)
たくさんの書類を抱き抱えるように持ち、慎重に運ぶのは意外と神経を使う。「よいしょ、」と書類を抱え直して、私は通路をのそのそと進んでいく。
NTCで働く事務員はそう多くない。人手不足という程ではないが、一人抜けると普段より仕事がスムーズに進行しにくくなるのだ。
それを危惧して、私は通常の業務と雑務係としての仕事を並行して行っている。
事務室から書類を持ち出して、静かな雑務室でまったりと自分のペースで仕事を行うのは集中できてとてもいい。雑務室には図書館のような効果がある気がする。
頭の中で「何から手をつけて、今日はどれくらい片付けようか…」と計画を立てながら歩いていると、西田くんが向かい側から歩いてきていた。私に気づいた西田くんは駆け寄ってくれる。
「それ重くないっすか?よかったら俺、手伝いますよ!」
「え、いいんですか…?でも西田くんは向こうに用があるんじゃ……、」
そう言う私に、「全然大丈夫っす!」と笑顔で返してくれる西田くんは、私の持っていた書類の三分の二くらいの量を丁寧に両手で持つ。
紙って意外と重いのに、西田くんは軽々と持ってしまうから男の子だなあと改めて思う。
向かう途中、「次運ぶときも手伝いますよ!」と言ってくれた西田くんの優しさで、これからの仕事が頑張れそうだ。ほわほわと自分の心が温まる。
それから少し歩いたところで柳田さんの背中を見つけ、西田くんが「マサさーん!」と声をかけると、柳田さんが振り返った。
柳田さんはじっと西田くんを見つめ、それから言う。
「え…西田、紙持ってんの似合わな……」
「うっさいわ!!」
西田くんが書類を両手に、揶揄う柳田さんの背中を追いかける。柳田さんと西田くんの笑い声が向こうから聞こえてきて、口元が自然と緩んだ。
私はさっきよりずっと軽くなった書類の束を抱え直して、小走りで二人の元へ向かう。雑務室まで、あともう少しだ。
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午睡(プロフ) - RIOさん» ありがとうございます…!!( ; ; ) (2021年10月9日 11時) (レス) @page10 id: 95250c6930 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 小説読ませてもらっています!めっちゃいいお話ですね!!!更新頑張ってください! (2021年10月3日 23時) (レス) @page9 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午睡 | 作成日時:2021年9月26日 3時