緑茶も欲しくなるでしょ ページ16
.
午前の練習を終えて、寮の自分の部屋でだらだらと過ごす。
今日はなんとなく外に出る気力も、なにかする気力もなくて。スマホを片手にベッドの上に寝転がっている。たまにはこんな日があってもいいだろう。
スマホの画面ばかり見ていたら目が疲れて重くなってきた。｢まだ夕飯まで時間があるし、少し寝ようかな｣なんて考えていると、着信音が部屋に響く。
スマホを手に取って確認すれば、画面には｢涼木A｣の名前が表示されている。まだ重たい目を擦りながら、俺は電話に出た。
｢もしもし、｣
｢もしもし〜。ごめん、寝てた？｣
｢いや、寝ようかなって思ってたとこ。｣
｢うわ、ごめん。｣
｢平気。別にいいよ。｣
本当に、何年経っても律儀だな。こういうところがAのいいところの一つだ。｢ごめん｣と｢ありがとう｣を素直に言えるところ。これはずっと変わらない。
電話越しのAは小声で話しているようで、多分外にいるんだと思う。
｢なんかあった？｣と訊くと、Aは小声のまま答えた。
｢今コンビニだけど、なんかいる？｣
｢ちなみにどこ？｣
｢いつものセブン。｣
｢でしょうね。｣
｢わかってんなら聞くなよ〜｣
寮の近くにはセブンがあるから、ＪＴのみんなは大抵そこを利用している。もうすっかり常連だ。俺とAでセブンのスイーツを制覇する日も近い。
｢甘いやつ？｣
｢んー…うん、｣
｢なにがいいとかある？｣
｢そこはAのセンスに任せる。｣
｢いや、プレッシャー｣
笑いながらそう言ったAは、｢了解〜｣と電話を切った。
数十分後に部屋を訪れたAが、しっかり俺の好きなスイーツと緑茶を買ってきてくれるから、ちょっと擽ったい気持ちになった。
｢俺のことわかりすぎだろ｣と言うと、｢まあね｣なんて得意気に返してくるから肩パンしておいた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RIO - 小説前から読ませてもらってるんですけど、めっちゃ好きです(唐突) ほんっまにこの作品面白くて！ 更新頑張ってください！ (2021年12月8日 0時) (
レス) @page13 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：午睡 | 作成日時：2021年10月30日 22時
