あの手紙からはじまっていた。 (ページ9)

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『岸くん記憶力いいんですね ‥ 』

ただ素直に思ったことを言ってみた

「いいみたい ‥ 」

え。(笑)

『そ、それはちょっと反則 ‥っ(笑) 』

おかしな返しに我慢しきれず笑ってしまう

「え？！な、なにが？」

え？え？なんて言って戸惑ってる岸くん

可愛いな～ ‥‥ て私なに普通に担当と話してんだ

いつの間にか動揺が消え、落ち着いている自分

岸くんの雰囲気がそうしてくれるのかな。、

『岸くんってすごいですね』

「え、俺が？」

『はい』

「別に何もすごくないすよ！」

『すごいですよ！』

「そ、そうすかね～ ‥ 」

納得はしてない様だけど、照れてるのか

頭を掻きながら笑顔を見せる

『そうですよ！すごいところなんてたーくさんあって、挙げてたらキリがないですけど、ただのファンの名前覚えてくださってるし ‥ 』

「んーー、それは多分 Aちゃんだから、かな」

『 ‥ え？』

「え？ ‥やっべ、遅刻する！」

「じゃ！またね！あ、気をつけて帰ってね！」

またしても私に喋る隙を与えず

手を振りながら去っていった岸くん。

いや、それ以前に

『とんでもない爆弾発言を残して行っちゃった ‥ 』

まぁ深い意味なんて当たり前に無いだろうし、、

また会えたらいいな、なんて思いながら

緩んだ口元を隠す様にマフラーに顔を埋め、

軽い足取りで歩き出す。

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