愛故に。

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『素直になれるかなぁ...』



さっき龍友さんが言ってた言葉を思い浮かべて、不安になってしまう。

トイレの鏡の前で無意識に百面相したりして。


...恋ってこんなに難しかったっけ。

中務さんだからなのか、私の経験が足りないのか。


一喜一憂しすぎなのかも。

だから疲れちゃうんだろうなぁ。



そろそろ戻ろう、と鏡から目を逸らし女子トイレから1歩出た。



「Aちゃん、」

『っ？！』



その途端、腕を引っ張られる。

...この前話しかけられたスタッフさんだ。


一気に不安と恐怖が心を侵食してきて、声もあげられない。




「ねえ、中務さんのこと好きなの？」

「俺がいるじゃん。」


『っや、だ...』



近づく距離に思わず出てしまった拒絶の声は、きっと相手を煽ってしまっただけなんだろう。

掴まれていた腕を壁に押し付けられた。






「うーわ、趣味悪いなぁアンタ」



いつもいつも、助けてくれるのは貴方で。

苦手なはずだったのに気づけば心は貴方で占めていた。



「そいつはやめといたほうがええで。」

「めっちゃ泣かれるし。」


「なにより、俺のやから。」








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