愛故に。

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_Yuta side_









「でねでね、」



さっきから疲れるんやけど。

工藤さんの話を聞き流しながら少量の酒を喉に通した。


やっと終わった撮影にホッとしたと同時に達成感も感じる。

そりゃそうやろな。4日経ってるし。


正直打ち上げはめんどくさかったけど、皆がいるしいいかなって思って断らなかった。

...あいつもおるし。



視線を巡らせてあいつの姿を探す。

えー、なんで龍友くんとおるの...。



こっちからじゃあいつの表情しか見れないけど楽しそうで。

あーあ、なに妬いてんやろ。



昨日の夜のことを思い出してしまう。

キス、してもうた。


唇の柔らかい感触とか、あいつの表情とか全部残ってる。



あいつ、どう思ってんのかな。



「裕太くん？」

「っあ、はい？」

「もう、聞いてなかったでしょー」



頬を膨らませてあざとく言う工藤さんに、苦笑いで謝った。

どうもこの空気が嫌で俺は席を立つ。


...トイレ、ってことにしとこ。




もう1度あいつの方を見ると、龍友くんしかいなかった。


どこいったん、あいつ。







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