愛故に。

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ふと目が覚めて、スマホを確認すると朝の6時。


見慣れない部屋は中務さんの家で、泊まらせてもらったことを思い出した。



ソファから身を起こして、帰る準備をし始める。


中務さんに一言言っといた方がいいかな...。





ちらりと寝室を覗くと、レアな寝顔。



写真でも撮ってやろうかと思ったけどやめた。


あとで絶対怒られる。





『中務さん、』


「...ん、」


『あの、私帰るんで鍵を...』


「んー」




ん、しか発さずに玄関まで目を擦りながら行った。


まだ頭は起きてないみたい。



その後ろをまた慌ててついていく。





『ありがとうございました、』


「ん。」




閉じられた扉を見てホッとする。


よかった、何事もなく終えられた...。




でもちょっとだけ。


ほんとにちょっとだけ、寂しかったのは気づかないふり。





『...ケーキ、食べるかな』




事務所へ行く前に、行きつけのお店にでも寄ろう。

最悪、要らないって言われたら自分で食べるからいいや。



タクシーに揺られながら、家に着くまでそっと目を閉じた。








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