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「お前は本当にアホ...」
『...すみません』
「ああいう奴に絡まれたらきちんと断れ」
2人きりの楽屋でまさかのお説教。
でも、逆にそれが私を安心させてくれる。
そのせいでさっき止まった涙がまた流れ始める。
拭っても拭っても止まらない。
拭い続ける私の手をそっと下に下げて、中務さんの温かい手が濡れる頬に触れた。
「...泣くなや」
「俺がおるやろ、」
『だってっ、止まんな...ッ』
「っ...あー、手のかかる奴やわ」
そう言って抱きしめられる。
強く背中に回された腕に鼓動が早くなった。
私も、そっと背中に腕を通す。
間近で香る心地いい匂い。
「寝るなよ」
『寝ません...』
「瞼、落ちてきてんで。」
『安心しちゃっただけです、』
「へぇー、俺で安心したんや?」
『っ私、本当に中務さんのこと嫌いじゃないですから...』
『信じてください、』
私はこれが言いたくて今ここにいるんだ。
誤解を解きたくて、本当は好きで好きで仕方なくて。
上着は私にとっておまけなくらい。
「...ん。」
今はその返事だけで充分だった。
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蓬 - 心にストンと落ちてくる葵子さんのお話にいっつも助けられてます。更新大変かと思いますが頑張ってください!応援してます! (2018年8月17日 1時) (レス) id: db0c6e08f6 (このIDを非表示/違反報告)
さちまる◎ - とてもおもしろかったです!佐野くんのお話も見てみたいです。これからもがんばってください!更新楽しみにしてます!! (2018年3月30日 18時) (レス) id: ed9abe364f (このIDを非表示/違反報告)
葵子(プロフ) - 莉愛さん» わあああ!!めっちゃ嬉しいです...!(;Д;)(;Д;)ありがとうございますっ!!本当に励みになります! (2018年3月27日 23時) (レス) id: 6b76cfea77 (このIDを非表示/違反報告)
莉愛 - 言い忘れてました(汗)初めまして!更新頑張って下さい! (2018年3月27日 22時) (レス) id: 936ea7fe0b (このIDを非表示/違反報告)
莉愛 - 私、この作品大好きになりました!これからも葵子さんの素晴らしい作品を期待しています!頑張って下さい! (2018年3月27日 22時) (レス) id: 936ea7fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵子 | 作成日時:2018年3月9日 17時