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_Ryuto side_
「お、今日はちゃんと手袋持ってきてるんや」
『はい』
「まあ寒すぎるし、忘れることもないか」
『......、』
「...A?」
『っえ?...ごめんなさい、なんですか?』
数日ぶりの二人きりでの帰り道。
様子がおかしいのは明白だ。
それはどう考えたって僕のせいに違いない。
僕と話してる時は決まって上の空で、酷い時は話すらできないくらい避けられている。
無理して作られる笑顔はAには似合わないのに。
その原因である僕がこんなこと思うのもおかしな話だ。
でも、僕の気持ちが上がらないのも確か。
ほら、もう深いところまでAに落ちてる自分がいる。
それなのにいつまで経っても優から離れられない僕は、なんなのだろう。
「A、最近元気ないなあ」
『そ、うですか?』
「うん。...僕のこと、避けてるみたい。」
あからさまに動揺するAは、言葉を懸命に探しているように見える。
好きな人をわざと避けるって苦しいことだ。
僕は、その苦しさを知っている。
『龍友さん、は...』
『少しでも私の事、考えてくれてますか?』
「...A、」
『私はっ...!龍友さんの気持ちが知りたいです』
重苦しく吐き出された彼女の声は、白く染まって宙に飛んでいった。
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みん(プロフ) - 素晴らしい文章力で、引き込まれます!ありがとうございます! (2019年5月20日 9時) (レス) id: f912ed750b (このIDを非表示/違反報告)
ARM26(プロフ) - すごく好きです…!こんなに引き込まれて一気に読んだのは初めてです!これから続編読むのですが楽しみ半分、終わりに近づいてる寂しさ半分…終わりまで楽しませていただきます! (2019年1月18日 21時) (レス) id: 6024ec169a (このIDを非表示/違反報告)
GENE love - 葵子さん» 賞味期限2も読ませてもらいました! ほんまに泣きました。 ほんまに体験してるみたいな気分になって切なくなって感動です! 頑張ってください! (2019年1月13日 20時) (レス) id: 1e4df9a365 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦で~す推し。(プロフ) - 愛故にを読んでるとき号泣してたので、ハンカチ用意しときます。真顔 (2019年1月13日 14時) (レス) id: 52e976e0eb (このIDを非表示/違反報告)
葵子(プロフ) - 釈迦で~す推し。さん» これからもっと切なく......(;Д;)(;Д;)← (2019年1月13日 14時) (レス) id: 6b76cfea77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵子 | 作成日時:2018年11月25日 18時