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息を切らしながらも、私の手を掴んだ中務さん。
龍友さんじゃ、ない。
傷だらけなのに、更にチクリと痛みが走る。
『なかつかさ...』
中務「1人で帰るの、寂しくないん?」
『...え?』
中務「もう遅いし、送ってく。」
家どっち?、と有無を言わせないような、そんな雰囲気で私に言う。
恐る恐る家のある方向に指を指すと、俺もあっち、と言って嬉しそうに笑顔をうかべる。
中務さん、あんまり酔ってない...今日は控えめの日だったのかな。
されるがままに手を引かれて中務さんの少し後ろを歩く。
ほら帰るでー、なんて少し楽しそうに言うところを見るとやっぱり少しはお酒に呑まれてる気がする。
『中務さん...あの、』
中務「ん?」
『手、は...このままなのでしょうか......』
中務「うーん、そやねー」
中務「手離したら、Aがいなくなりそうやから、」
怖くて離せないんやわ。そう言う中務さんの表情は見えないけれど、何もかも見透かされてそうで怖かった。
でも、中務さんの優しさはやっぱり温かい。
『あ...ここです、』
中務「俺ん家と割と近いなあ」
くすくす笑う中務さんに釣られて、私も笑みを零す。
すると、中務さんは更に笑顔を深めた。
中務「...やっと笑った、」
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みん(プロフ) - 素晴らしい文章力で、引き込まれます!ありがとうございます! (2019年5月20日 9時) (レス) id: f912ed750b (このIDを非表示/違反報告)
ARM26(プロフ) - すごく好きです…!こんなに引き込まれて一気に読んだのは初めてです!これから続編読むのですが楽しみ半分、終わりに近づいてる寂しさ半分…終わりまで楽しませていただきます! (2019年1月18日 21時) (レス) id: 6024ec169a (このIDを非表示/違反報告)
GENE love - 葵子さん» 賞味期限2も読ませてもらいました! ほんまに泣きました。 ほんまに体験してるみたいな気分になって切なくなって感動です! 頑張ってください! (2019年1月13日 20時) (レス) id: 1e4df9a365 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦で~す推し。(プロフ) - 愛故にを読んでるとき号泣してたので、ハンカチ用意しときます。真顔 (2019年1月13日 14時) (レス) id: 52e976e0eb (このIDを非表示/違反報告)
葵子(プロフ) - 釈迦で~す推し。さん» これからもっと切なく......(;Д;)(;Д;)← (2019年1月13日 14時) (レス) id: 6b76cfea77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵子 | 作成日時:2018年11月25日 18時