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「ん、切り終わった」
『その鍋に入れてくださーい』
「はーい」
手際がいい龍友さんのおかげで順調に進んでいる。
...新婚みたい、って思ったよね誰でも思うよね!!
きゃああ、と荒ぶる胸中。どうかバレませんように。
「なんか新婚みたいやね、僕たち」
『そ、そうですね...っ!』
龍友さんもそう思ってくれたの?余計に気持ちは昂っていく。
狭いキッチンで触れ合う肩、無駄な動きのない龍友さんの綺麗な手。
それ以前に、2人きりの部屋。
意識すればするほど、昂る気持ちは止まらない。
絶対、顔真っ赤だ。
「顔、赤いで」
『...自覚済みなのでお気にせず』
「ん、」
そこから会話は途切れ、呆気なく新婚気分は終わりを迎えた。
後はお皿に盛り付けて食べるだけ。
手を洗おうと、水を出したその後。
視界は龍友さんでいっぱいになった。
身を屈めて、音もなく私に触れるだけのキスをすると感情が読み取れないなんとも言えぬ表情で離れていく。
目は逸らせない。
部屋にはただ、水の流れる音が響いている。
私たちは引き寄せられるままにもう一度キスをした。
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みん(プロフ) - 素晴らしい文章力で、引き込まれます!ありがとうございます! (2019年5月20日 9時) (レス) id: f912ed750b (このIDを非表示/違反報告)
ARM26(プロフ) - すごく好きです…!こんなに引き込まれて一気に読んだのは初めてです!これから続編読むのですが楽しみ半分、終わりに近づいてる寂しさ半分…終わりまで楽しませていただきます! (2019年1月18日 21時) (レス) id: 6024ec169a (このIDを非表示/違反報告)
GENE love - 葵子さん» 賞味期限2も読ませてもらいました! ほんまに泣きました。 ほんまに体験してるみたいな気分になって切なくなって感動です! 頑張ってください! (2019年1月13日 20時) (レス) id: 1e4df9a365 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦で~す推し。(プロフ) - 愛故にを読んでるとき号泣してたので、ハンカチ用意しときます。真顔 (2019年1月13日 14時) (レス) id: 52e976e0eb (このIDを非表示/違反報告)
葵子(プロフ) - 釈迦で~す推し。さん» これからもっと切なく......(;Д;)(;Д;)← (2019年1月13日 14時) (レス) id: 6b76cfea77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵子 | 作成日時:2018年11月25日 18時