喰べないからそばに居て。

青鬼と人間―２１― ページ23

黙々と作業してたら、シアが帰ってきた。
口にべったりと血が付着して、真っ白なマフラーの半分の面積が真っ赤に染まっている。

「し、シア……っ！？」
「A。
　……ごめん、なさい。まふらー、よごし、ちゃった。」

真っ赤に染まったマフラーを床に置いて、私の隣に座る。
ちっちゃくだけど、嗚咽が聞こえる。

「泣いてるの？」
「……シアは、ないて、ない。」

目から伝う水が、嘘をついている。

「私には嘘吐いちゃダメって言ってるのに、シアは嘘をつくの？」
「……………ごめん、なさい。
　人間が、Aの、まふらー、とった、から。あたまが、まっしろ、に、なって……。
　それで…それで……っっ。」
「分かったわ、もう良いの。
　それに、マフラーなんていつでも作れるもの。

――――ほら、シア。貴女の分のマフラー出来たから…。」

白いマフラーをシアの首に巻く。

「あったかい、でしょう？後で、同じの作るからね？」
「うん…。」

ぎゅう。と、私を抱きしめるシアの腕。
……何故か、私も同じように抱きしめ返す。


とても、暖かい。






……あぁ、何故だろう。離したくない。離れたくない。

「………A。どうして、はなれない、の？
　シアが、いや、なんでしょ？」
「…わ、分からない。
　でも……なんで……だろ、ね？」


とても、幼いシアに。
何処かで惹かれてたのかな。

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