検索窓
今日:6 hit、昨日:10 hit、合計:157 hit

11冊目 ページ11

.



クレーンゲームのアームが
(人1)の操作でぬいぐるみを掴むのをボーッと眺める。

それが上まで持ち上がると動く直前に、
明らかにパワーが弱まり不自然に途中で落ちる。



「やっぱこの手のゲームは確率か」



と呟きつつ見てるのにも飽きてきたので
鞄から先程買って貰ったラノベを出して読み始めた。



「あー、もう少しだったのにー…」


「諦めろ、そのぬいぐるみはお前の所に来たくないんだよ」


「あはは、酷いなあ」



それでもまだクレーンゲームを続けるので
俺は近くの休憩用のベンチに座ると
本格的に本の文字を目で追う事に集中し始めた。




.




どれくらいの時間が経っただろう。
隣に座られる感覚に本から視線を移すと
そこにはドヤ顔でぬいぐるみを抱きしめる(人1)が居た。



「見てみて、取れたよ!」


「…確率来るまでやったのか」


「どうしても欲しかったんだもん」


「いくらだった」


「3000円くらい?」


「高。買えるじゃねーか」



よくあるお約束なら途中で「俺が取ってやるよ」
とかカッコつけるものなのだろうけれど

生憎と俺はクレーンゲームなんざ得意じゃねぇんだよ。

まあ本人も自分で取って満足してるようだし。



「目的果たしたなら帰るか」


「……帰したくない、なー」


「…」



だからそれ相場は男が言う台詞なんだよ。
なんでお前が言ってんだ。
そんで何で俺もちょっとグッときてんだ。

…まあ、別に今日一日だけだし
部活が始まるまでなら付き合ってやるのも悪くないか。



「ならこれからどうする」


「んー…と、行きたい所とかは無いかな…」


「ねぇのかよ」


「あ、屋上とかいかない?学校の屋上。
少し早いけどお昼コンビニとかで買って食べようよ」


「……分かった」



その提案に腹も減ったし良いかと思い本をしまって立ち上がると
(人1)は人目も気にせず俺の手に触れた。

その感触にまだ少しだけ内心ビックリするけれど。

…俺自身も、手を繋ぐのくらいには慣れてきた、か。

12冊目→←10冊目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:黒子のバスケ , 黛千尋 , 由麻
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:由麻 | 作成日時:2024年3月26日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。