アイツの空 (ページ10)

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めちゃくちゃ怒られてる。

かわいそう。

原稿の最終チェック終えて。

シンゴのとこに私も持ってく。

ショータはもう、自分のデスクに戻ってたけど、

イラストが置いてあった。

カラフルカメレオンの絵が一点。

それと、もう一枚。

綺麗な虹。

心奪われるって、こういう時に使う言葉だ。

私はいつもショータに心を奪われてる。

シンゴの言葉を借りると、

何でも出来るんだもん。

虹のように、カメレオンのように。

いろんな顔を持ってる。

ショータは実は一人じゃないんじゃないかって。

本気で思う時がある。

そのくせ、まっすぐ過ぎて、
優し過ぎて、
不器用なとこもあって、

「綺麗な絵」

思わず、心の声が出てた。

「・・・」

シンゴが私の顔を見て。

少し複雑な顔をする。

「A、ショータの教育、ちゃんとやれや。
優しいんはええけど。
あいつやから、
原稿あげんでもええわって、
最上くん絶対になめてんねん」

確かにシンゴのおっしゃる通り。

「心して指導にあたります」

ショータが新人の頃、
確かに私が教育係だったんだけど。

頭の回転が速くて、
飲み込みが早いから、

ほんの数ヶ月で独り立ちしたんだよね。

最近また、
那月先生のところに一緒には行ってるんだけど。

指導って、難しい。

相手がショータだからこそ、余計。

私情ははさんじゃいけないのに。