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引きずる間も無く翌日から、
一週間は、
締め切り間際の地獄絵図。
庶民派主婦向け雑誌、『サニー』の編集部は戦場と化してる。
ディスカウントショップの売れ筋商品をリストアップしたり、
不倫主婦の本音をアンケートしたり。
節約カリスマ主婦の取材や、
那月先生の小説の原稿を取りに行ったり、
休む間もない。
ついに締め切り当日。
同期で、編集長のシンゴが、
朝からみんなにハッパかけてる。
「急げ。急げ。
何やってんねん。
ショータ、最上先生のイラスト原稿、
もう上がってるんか」
その最上くんと電話で話してたショータが慌ててデスクから立ち上がった。
最上くんは、先生と呼ぶにはまだ早い、
新人のイラストレーター。
精神的にかなり脆弱。
きっと原稿は上がってない。
電話を切ったショータが、
「すいませんっ」
叫びながら、シンゴのデスクに飛んでいく。
飛んで行っても、
原稿はないわけで。
どうするんだろ。
助けてあげたいけど、
私も仕事が山積み。
「あの。村上編集長。
最上くんは風邪こじらせてて。
無理だそうです」
「はあ？
何じゃそれ。
締め切り今日の１８時や。
分かってんのか？」
編集部じゅうに響くような、
シンゴの怒号が飛ぶ。
「すいません。
それで僕、自分で描いてみました」
ショータがいきなり言い出した。
相変わらず、よく分かんないコだ。
原稿を見てるシンゴの顔が変わった。
「お前。
ほんまに何でも出来るな。
そういうんをな、
器用貧乏ちゅうねん。
今回これでいくけど。
最上先生のフォロー、ちゃんとやれ。
それに最上くんちゃう。
最上先生や」
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年7月7日 9時
