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「ああ、うん、まあ。
いい年して。
お嫁さんが夢なんて、
笑っちゃうでしょ」
自虐でもしないと、恥ずかしくて、
いたたまれない。
「全然、そんなことないです。
A先輩はいい年でもないです」
ショータが慌てて否定してくれてんのが、
ますますいい年なんだなって自覚させるわ。
ショータは年上女なんて、
興味ないよね。
信号が青になって。
車が走り出す。
その時、ラジオから、
大好きな曲が流れてきた。
半年前に取材で一度だけ会った、
クロスザスカイっていうバンドの曲。
アイドルばりにイケメン揃いのバンドだけど、
別にファンてわけでもなかったのに、
新しい曲がすごくお気に入り。
それで急に気になり出した。
この前のカラオケでも、
本当は歌って欲しかったんだけど、
言えなかったんだよね・・・
聴き入ってる私を、
ショータがちらっと見てくるから。
「この曲、すごく好きなの」
つい暴露。
「そうなんですか」
ショータがにこって笑う。
それだけで、
胸がきゅうってなる。
「うん。
歌詞がすごくいいよね。
今この現状が自分の望んだ場所じゃなくても。
腐らないでその場所で頑張り続ければ、
キラキラ輝く未来が待ってるって。
なんか、自分に言ってくれてる気がする」
もっと抽象的な歌詞だけど、
きっとこういう意味だと思うわけ。
今の私の状況を端的に現してんだよね。
「へえ」
ショータが妙に照れてる顔してるから。
私、こっぱずかしいこと言っちゃったわって焦る。
「まだCDは一枚しか持ってないの。
ドラムの子がかっこいいよね」
ついついごまかしてて。
そしたらショータが、
「俺も今ある場所で、
どうすればいいのか、悩むことばっかです」
同意してくれて。
すっごく嬉しくなった。
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年7月7日 9時
