アイツの空 (ページ18)

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「ショータも本当はファッション誌に移りたいんじゃないの？」

普段、すごく個性的で可愛いカッコしてるし、
どう見てもファッション大好きだと思うんだよね。

「も、ってことは、
A先輩、ファッション誌に移りたいんですか」

逆に聞き返された。

「新入社員の頃はね」

うちの出版社のスポンサーの会社を経営してる、
亮治叔父さんのコネ入社で、
ただの腰掛けのつもりで。

早く結婚して辞めたかったんだよね。

でもどうせ雑誌作るなら、
自分たちが流行を作るなんてカッコいいなあなんて。

それなりに憧れ持つようになってて。

でも今は・・・

「移りたいのかどうか、
よく分かんなくなってきた。
結婚したいのかどうかも。
自分を見失って、迷走中というか。
模索中というか。
だからこの曲が好きなんだ」

私、なんで後輩のショータにこんな話を。

「みんなそうなんちゃうかなあ」

ショータが不意に呟いた。

敬語じゃない。

こんなの、初めてだ。

ちょっと、ドキってなるじゃない。

いやいや。

もう心臓、爆発寸前だ。

私、どんな顔してる？

好きがだだ漏れの女の顔してないかな。

不安でたまらない。

あっという間に、
一人暮らしのマンションに、
もう到着。

なんでこんなに近いの。

「ありがと。
助かった」

先輩らしく言って、
車を降りようとした時。