アイツの空 (ページ14)

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結衣ちゃんが話題を変えてくれた。

「別にそういうわけじゃないけど。
結婚相談所って、
メニューみたいに経歴書があるから。
それなら条件の良い人から会おうかなって。
それだけ」

十分、嫌な女な発言だろうな。

ショータ、どう思ったかな。

今更か。

オンナとして見られてるわけないんだから。

シンゴ、それきり急に黙り込んで、
なんか考えてるわけ。

シンゴが黙ると変な間が出来るじゃん。

手持ち無沙汰で、とりあえずビールを煽る。

そろそろ秋なのに、
なんでこんなに美味いんだ。

忘れよう。

あの医者のことも、

ショータへのこのどうしようもない気持ちも。

やけ酒だ。

私もいつもより飲んじゃったけど。

シンゴはその比じゃない、
浴びるほど飲んで。

すっかり酔っ払い。

駐車場のシンゴの車に、
ショータと二人で、
飲んだくれのシンゴを運ぶ。

いつの間に帰ったのか、結衣ちゃんは消えてた。

ショータが迷わずに、
シンゴのポケットから、
車のキーを抜き取った。

「ショータ、飲んでないの？」

「あっはい。
シンちゃんが送ってけ言うん、分かってたし。
A先輩もシンちゃん運ぶんお願いしてもいいですか」

なんていじらしい。

ショータは、
シンゴの大のお気に入りだ。

プライベートでは、
編集長じゃなくて、
名前で呼ばせてるし。