アイツの空 (ページ13)

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「お前はもともとアホや。
まだ婚活とやらやめてへんのか」

シンゴは私の婚活をバカにしている。

そんなもんで運命の相手に出会えたら、
苦労せえへんわ、

ということらしい。

探してるのは運命じゃない。

現実の、
結婚相手だ。

運命の相手なら・・・

すぐ後ろに。

背中合わせに座ってるもの。

運命というのは、
いつだって貝のように合うわけでないのだ。

「A、例の医者とはどうなってんねん」

シンゴがブッ込んでくる。

「おかげさまで」

振られた、って言おうとしてたら。

すぐ後ろの席のショータが。

「その人とはA先輩の方から終わりにしました」

なぜか、会話に入って来た。

私も驚いたし、

結衣ちゃんも、目をまん丸にしてる。

シンゴが、

「なんでショータが知っとんねん」

って。

ショータをどついた。

意味不明なんだけど。

「いったあ。
俺、たまたま会うて。
A先輩がその人を振るところ」

シンゴに殴られた頭を押さえながら、
ショータが嘘をついてる。

ショータって優しいんだよな。

「嘘やろ。
なんでAが医者をふれる立場やねん」

シンゴはからかってきたけど、
嘘だって言い出しにくい。

「A先輩は、
理想が高いんですね。
お医者さんとかじゃないと、
ダメなんですか」